「好きだ。お前を幸せにする。………結婚、してくれないか?」 「………はい。幸せに、してくださいッ!!」 名前がまたプリンを口に運んだ。 テレビから垂れ流しの恋愛ドラマの最終回。イケメン俳優が美人女優を抱き締めている。 名前がプリンを口に運ぶ。 このドラマは毎週観ていたわけではなく、今日たまたま来客として上がり込んだ名前が観るものがないと唸りながらリモコンを弄ってチャンネルをパチパチ変えていたらやはりたまたま放送していたのを仕方なく観ていただけだ。 ちなみに、名前とは付き合ってない。 ただ、男と女が思い合ってて恋愛をして結婚する。それだけの物語。 そこにはきっと、いや、そこに至るまではきっと様々試練や障害があったんだろう。 ドラマは大団円で、結婚式の様子をバックにエンドロールが下から上に流れていった。 「結婚するから幸せになるなんて、大間違いよね。夫婦は所詮、他人同士なんだから。恋人関係より夫婦になってからの方が幸せなんて少なくなると思うのよ」 名前が最後の一口のプリンを口に入れた。 「お前、それ夢なくね?つーかプロポーズなんて大体「お前を幸せにしてやる」だろ?」 「だったら私は結婚しない」 「んー、じゃあ「俺に旨い味噌汁を作ってくれ」は?」 「えー」 「あ、わかった」 そう言った俺は隣の名前の手を左手で握り、右手で髪を掻き分け頬を撫でた。 少しだけ名前がビクッと跳ねた。 「名前、俺と何処までも堕ちよう」 「アホか」 スパコーンと俺の頭を真顔で叩く名前さん。 「でも惜しい。ちょっと待ってね。あーあー」 突然声を低音にして調整する。 今度は俺のターンと言わんばかりに名前が妖しく笑った。 「銀時」 情けないが、ちょっとビクッてなった。 ×
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