坂田銀時は凄く怒っていた。いつも死んだ魚の目をした男が、今では侍のような爛々とした目をしている。 怒りの矛先は、私だ。 「お前、自分のしたことわかってんの?」 「違うよ、私じゃない」 「さっきからそればっかじゃねーかよ」 ソファーに座る銀時の足元に正座している私の足は既に限界なのだが、足を崩すことは許されない。 そして何より、銀時の素足がクサイ。 私の鼻と銀時の足はそれなりに距離があるのにクサイ。すっごいクサイんじゃなく、そこはかとなくクサイ。 「ぅう…」 「泣いたってどーにもならねぇんだよ。泣けばいいってか?」 いや、泣いてない。私は銀時の足がクサイのと自分の足が痛くて唸っただけだ。泣いてない。 「俺の大事な限定プレミアムプリン食ったの名前だろ。……うまかったか?」 「うん。凄く美味しかった。……ごめんなさい」 「…はぁ、銀さんが怒ってるのは、どうしてかわかるな?」 「はい…」 「よし、じゃあ今日は足の臭いの刑で許してやる」 そう言ったと同時に、銀時のクサイ足が私の鼻に近づく。クサイ。クサイどころじゃない。 「ギャァアアアアアアア!!クッサ!!何事!?え、クッサ!!え?」 「ギャハハハ!!ザマーみやがれ!!ヤベェ楽しくなってきた」 「ちょ、やめ、クッサァアアアア!!」 その内、調子に乗った銀時の足の指が鼻の穴に入ろうとしてきた。 親指だ。入るわけがない。だが銀時は、「うりうりうり」とか言いながら捩じ込んでくる。 鼻が、破ける………―――。 そこで私の意識は途切れた。 |