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頭の冷えた土方に連れられた土方の部屋。そこには近藤さんと沖田さんも居る。そしてジミー。この人の名前だけ覚えられないから、また聞いとかないと。



「聞いてんのか、田中」


「ごめん、土方の声だけ届かない魔法の耳栓してた」


「どんな魔法!?つーか今返事したよな、確かに俺への返事だったよね」


「…で、なんだっけ?」



ふざけた話ではなさそうなので、真面目に目と眉を近くに寄せてシリアスモードをオンにした。
土方は、煙草の煙を燻らせた。



「お前、男に抱かれたことはあるか?」


「は」



ナニを言っているんだこの男は。こちとら真面目に普段近づけない目と眉を近づけてご丁寧にシリアスモードオンとか心の中で呟いてこの場に出向いてやってるのに。
ヤったことありますか、とか何カッコつけて言っちゃってんの?頭パーン系ですか、頭パーン系なんですね。わかりました。勝手にシリアスモードオンにした私が馬鹿でした。



「ちょ、土方さん、それは…ぷぷ、ダメだろィ…ぷっぶふっ!!フォロ方が微塵も感じられねェ」



沖田さんは頭パーンの土方と、言葉を発さない私を交互に見遣る。しかも笑いを堪えながら。
ちらりと近藤さんを見ると、魂が抜けたように白目剥いてた。多分、要らぬ妄想をしたのだろう。
ジミーは、メモ?メモ帳に何か書いてた。



「何がダメなんだ。田中、もう一度聞く、抱かれたことはあるのか、ないのか」


「……ね」


「あァ?」


「…し……」


「おい、よく聞こえな、」


「死…ね…し…ね…」


「傑作でさァ」


「死ねぇえああ土方ぁああああ」



白目のままの近藤さんから刀を引き抜いて土方を殺そうと斬りかかったが、呆気なく沖田さんに止められてしまった。
なんつー速さだ。



「土方を殺すのは、この俺って決まってましてねィ。それに土方さん、アンタは言葉足らずでさァ」



とりあえず私は、刀を納めて座り直した。





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