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そうして、私がここ――真選組屯所に来て1週間も経っていた。
最初こそは土方の言うことを聞き、与えられた自室からトイレと風呂以外出なかったが、それは2日ともたなかった。
今では、一般隊士に朝夕の剣術指導をする程真選組を牛耳っ―…馴染んでいます。



「田中補佐官お疲れ様です!!」


「ちわー」



私がちょっと廊下を歩けば、皆が挨拶をしてくれます。でも「補佐官」って、どういうことなんだ?
とりあえず、今すっごい楽しいです。



「お、雛じゃねぇか」


「げ、沖田さん…」


「なんでィ、そんなに俺に会いたかったのかィ」



黒い笑みを浮かべながら沖田さんは私の口に容赦なく指を入れると、左右に引っ張った。人類の頬は左右に引っ張るためにつくられた訳ではないので痛い。



「いひゃいいひゃいっへ」


「雛ー、人類なら人類らしく人類の言葉を話しなせィ。あ、お前は狗でしたねィ。ほら啼け、狗は狗らしく」



頬の皮膚がそろそろ破けそうなとき、頭上から私の一番嫌いな声が降ってきた。



「おい総悟、田中を呼んで来るのに何分かかってやがる」


「まだ3分でさァ。3分も待てねーとは、土方さんは短気だからカップ麺がまだガチガチの状態で食べ始めるタイプに違いねェ」


「じゃあカップ麺にお湯かけないで食べればいいのに」


「確かに。むしろベビースターラーメ○がお似合いでさァ」



ゲラゲラと二人で笑ってたら、鬼のような形相の鬼がいた。本当に短気だ。



「3分…?総悟、3時間の間違いだろーがぁあああ!!!!!」



そこで、毎日恒例の鬼ごっこがはじまるのだが、私に用事とはなんだろう。
土方はこのとおり、すっかり我を忘れて鬼ごっこに没頭中。





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