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沖田を追い出してから小一時間、山崎はいつの間にかいなくなって、話しに改めて展開はなかった。
「土方ぁーつまんない」
「お前、自分の状況わかってんのか?」
「……雛」
「は?」
「お前、お前、マゾ子、マゾ子。私には名前あるっつの。田中 雛。私の名前。あと昨日は元職場の上司と飲んでた。んで気が付いたらここにいた。以上」
少し膨れた顔をしたマゾ子(仮)―――田中 雛は、もう飽きたと言わんばかりに寝始めた。
「寝るな!!」
「失礼しやーす」
ガチャリ、と再び現れたのは沖田。寝ている雛をチラ見して、膝蹴りした。
「ぶごっ!!」
「寝てんじゃねー。近藤さんがお呼びでさァ」
「お、いたいた。山崎に聞いたんだが、勤めていた仕事と住む場所を無くしてしまったって…」
「そ、そそそうなんです!!なので、これも何かの縁…。私を居候させてくれませんかっ!!」
「ダメだ」
「トシ、良いじゃないか。困っているんだ。困った人を助けるのも、警察の仕事だろう」
「困ってる前に、コイツが怪しいとか考えてないだろ、近藤さん…」
呆れた表情の土方は、溜め息を溢した。
「良いじゃないですか。犬の一匹や二匹…土方さんの給料差し引けば養えるだろィ」
「テメェの給料から差し引けよ。俺の給料何だと思ってんだゴルァ」
「何でィ。元々犬の餌かタバコにしか使ってねーんなら本当に犬の餌に使ったってプラマイゼロでさァ」
「犬の餌って何だよ餌って!!つーか意味わかんねーよ!!何がプラマイゼロだ!!プラマイマイナスじゃねぇかァアアア!!!!」
不毛の言い争いに割って入ったのは近藤だった。
「じゃあ「「「却下」」」…まだ言ってない…」
即答でした。しかも雛も含め三人息を合わせて即答でした。
結局、近藤の許可が出たため雛は真選組が保護する、という事でその場は終わった。 勿論、土方は納得いってなかったが、近藤が許可を出した以上逆らう気はなかった。
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