(2/3)

沖田を追い出してから小一時間、山崎はいつの間にかいなくなって、話しに改めて展開はなかった。



「土方ぁーつまんない」


「お前、自分の状況わかってんのか?」


「……雛」


「は?」


「お前、お前、マゾ子、マゾ子。私には名前あるっつの。田中 雛。私の名前。あと昨日は元職場の上司と飲んでた。んで気が付いたらここにいた。以上」



少し膨れた顔をしたマゾ子(仮)―――田中 雛は、もう飽きたと言わんばかりに寝始めた。



「寝るな!!」


「失礼しやーす」



ガチャリ、と再び現れたのは沖田。寝ている雛をチラ見して、膝蹴りした。



「ぶごっ!!」


「寝てんじゃねー。近藤さんがお呼びでさァ」


「お、いたいた。山崎に聞いたんだが、勤めていた仕事と住む場所を無くしてしまったって…」


「そ、そそそうなんです!!なので、これも何かの縁…。私を居候させてくれませんかっ!!」


「ダメだ」


「トシ、良いじゃないか。困っているんだ。困った人を助けるのも、警察の仕事だろう」


「困ってる前に、コイツが怪しいとか考えてないだろ、近藤さん…」



呆れた表情の土方は、溜め息を溢した。



「良いじゃないですか。犬の一匹や二匹…土方さんの給料差し引けば養えるだろィ」


「テメェの給料から差し引けよ。俺の給料何だと思ってんだゴルァ」


「何でィ。元々犬の餌かタバコにしか使ってねーんなら本当に犬の餌に使ったってプラマイゼロでさァ」


「犬の餌って何だよ餌って!!つーか意味わかんねーよ!!何がプラマイゼロだ!!プラマイマイナスじゃねぇかァアアア!!!!」



不毛の言い争いに割って入ったのは近藤だった。



「じゃあ「「「却下」」」…まだ言ってない…」



即答でした。しかも雛も含め三人息を合わせて即答でした。

結局、近藤の許可が出たため雛は真選組が保護する、という事でその場は終わった。
勿論、土方は納得いってなかったが、近藤が許可を出した以上逆らう気はなかった。





×