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「近藤さん、土方さん、ちょっと良いですかィ?」



沖田は、頬を少し赤らめ心なしかもじもじと照れている。
そんな少年らしい沖田を見て、近藤はお父さんスイッチがONになったようだった。



「どうしたんだ、総悟。悩み事か?」


「その…ですねィ…。え、と…」


「なんだ、早く言え。用がねーなら仕事に戻りやがれ」


「まぁトシ、そう言うな。総悟はまだ18だ。年相応の悩みがあるだろう。それを聞くのも、俺達の役目だ」



近藤が言えば、土方も何も言えなくなる。まあ、溜め息はつくが。
土方は、どうせ碌な事じゃないだろう、と思っていた。



「犬…飼いたいんでさァ…。ダメ…ですよね…」



なんだコイツ、たまには年相応の事言うじゃねーか、と土方が感心したのも束の間。
やっぱり嫌な予感が止まない土方は、即その要望を断ることにする。



「ダメに決まってっだろ」


「そうだなぁ、ペットは難しいな」


「そんな事言われても困りまさァ。もう連れてきちゃいましたんで。テヘ」



沖田は自身のげんこつで頭を小突いた。顔は少し傾げて。
コイツ誰?と思ったら、それは脳内だけでなく、口から出てしまっていた。



「「テヘ」って誰ェエエエ!?」


「ほら」



沖田が指を指した先には、人間の女がグッタリと倒れていた。



「総悟ォオオオオ!!」


「総悟クンんんん!?それヒトじゃね?犬じゃないよね!!??少なくとも犬じゃあないよねェエエエ!?」



大騒ぎする二人に対して沖田は冷静で、いや…冷徹で冷えた笑顔を浮かべた。
それはサディスティックという言葉や行為を、まんま具現化したような、サディスティックの化身だと思いました。あれ、作文?って、パターン色んなとこで見るよね。



「犬、でさァ。ちなみに名前はマゾ子。俺に従順な狗になるように、と願いを込めました」


「ねぇトシ、イヌって字が途中で変わった気がするのは俺だけ?」


「いや、近藤さん、俺もそんな気がした…」



ニコニコの沖田の手には、鎖が握られていて、それは例の"犬"に繋がれていた。



「二人とも、何言ってんの?イヌは、狗だろィ」


沖田は嬉しそうに顔を歪ませた。





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