餅焼く仲は睦まじきかな 4/5
あれきり押し黙ったロナードに着いて、彼の部屋までやって来た。 レイナスに入室を促したロナードが扉を閉めるのと、「すまなかった」と小さく詫びたのは…殆ど同時。 レイナスがロナードの言葉に気付いたのは更に数秒の後だった。 「……い、今更謝られたって…――!」 既に瓦解した維持にしがみつき、素直に謝罪を受けないでいるレイナスに構わず、ロナードはきつく相手を抱きしめた。 「好きだ、レイナス」 「〜〜何言ってんだ、こんな時に…っ」 囁かれた意味にみるみる赤面するレイナスは、照れ隠しにロナードの胸板を押し戻す。 「この部屋には俺達しかいない」 「そういう意味じゃないっ!!」 「そう怒るな」 ぽふぽふと軽く頭を叩き、ロナードはレイナスをじっと見据えた。 「まぁ…そんな顔も時々なら悪くないがな」 「〜〜…ロナード、お前あんまり反省してないだろ…?!」 頬を引き攣らせて拳を握るレイナスに、ロナードは冗談言うなと口角を歪める。 「折角のお前の惚気話を聞く機会を自分で潰した事は、反省したってし足りないな」 (なぁ気付いてたか?) (レイナスがお前以外の名前出す時の話題って) (大概お前のいない所でされた、お前のノロケ話なんだぜ!) 軽薄な協力者に感謝しながら、ロナードはレイナスが折れるまで、その耳に、その体に、持てる全てで想いを注いだのだった。 fin. ページ: |