守ろうとして殺したのに…なんで化物なの…?いつも……いつも最後に…見られてた人に言われて…
今日のだって…人を…殺してるマフィアが…怯えてて…また化物で…
辛くて…
潰れちゃいそうで…。」
スゥ…と息を吸っていた。
何回も
何回も。
それは潰れそうな自分の中に空気を取り込んでいるのかと思うほど深い深呼吸だった。
「僕は…弱い…。なんで…あんな…たった一言で…泣きそうになるんだよぅ…。」
零れそうになる涙を必死で拭う姿は不謹慎だけど、オレにはどうしても可愛く見えて…
でも涙は見たくなかったから、ぎゅっと抱きしめて頭を撫でた。
「お前は弱くないし、化物なんかでもねェよ。
誰にだって辛くなるときがあるし、今まで泣かなかったじゃねェか。守ろうとしたモン全部守りきったじゃねェか。
化物は守るために戦ったりはしないからな。」
「…
嘘じゃない…?」
「オレは嘘つかねェよ。」
それに緋彗が本当に化物だったとしてもオレは…。
「…
ひっく……うぅ……ふぇ…。」
「?
どうした?」
「ふぇ…っく…ひっく…
ありっがと…ユーくん。」
ボロボロと泣き出した緋彗をオレは気が済むまで黙って撫でていた。 ←→ page: