26/32 「(なんでこういうところって未来のボスが多いんだよ…。)」


僕の呟きが会場のざわめきの中に消える。まぁ呟きと言っても心の呟きだから消える消えない以前に、音として成り立ってないけど。


アイリスやユーくんはガキんちょに囲まれて質問攻め。アイリスはたぶん“神田”を自慢してたみたいだ。
ユーくんもギリギリだけどなんとか我慢してるみたいだからいいんだけど、















「お嬢さんはなんとおっしゃるのかな?」


あんたに教える義理はねェよ。


「年は?」

あんたよりも下だよ確実に。


「何か食べたいかい?」


ぶっちゃけお腹空いてんのに食わせてくれないのはあんたらだろ。



なんで僕の周りにはオッサンが群がるのかな?そんなにエロい体してないゾ☆(痛)


…………………。


10才だからねウン。まぁ当たり前…

じゃねェよ!


出てる子は出てるもん!!胸とか!


「どうせぺったんこですよ僕は。」

「なんて言ったのかい?」

「あ…いえ、お気になさらないで。」


日本語でよかった。と胸を撫で下ろす。







息がつまる…。


はやく帰りたい…。


一人でいいから


近寄らないで…。




「わっ!」

「申し訳ない!肩が震えていたので、ご気分が優れないのかと…。」

「(あ…やべ…。)
大丈夫ですわ!私、こう見えても丈夫ですの。」


いや、見た目から丈夫ですけどね。元気っ子街道まっしぐらだよ。


「顔色もあまりよくないし…。」


手が近付く。


怖い…というか気持ち悪い…。


そして


「触るな!」


無意識のうちにその手を払いのけた。頭が酷く重い。


「あ…っすみません!私、男性の方は苦手で…。」


吸う息が酷く冷たい…。


「何か冷やすものをお持ち致しますわ!」


早くこの場から逃げたい…。

「気にしなくても平気だよ。少し話さないかい?」

「で、でも…。」


お願い…


少しだけ…。


「少しでいいでs「お嬢様はご気分が優れないのであとにしていただけませんか?」

「ユーk「名前で呼ぶな馬鹿女。」あ。」


そう日本語で注意してきたのはユーくんで、



肩の震えも止まっていた。


「神田、アイリスさんは?」

「あそこでしゃべんのに夢中になってる。」


あいつウゼェ。と言いながら顎で指す。あ、確かにおしゃべりに夢中になって


ないじゃん!めっちゃこっちガン見じゃん!!

あれ?しかもなんか来たんだけど!なんか従えて来たんだけど!!


「神田、あなた私に許可を取らずに何故このメスブタとお話してらっしゃるの?」

『(テメェに許可なんて取る必要ねェよ。)』


つーかメスブタってなんだ。あんたに言われたくない。任務じゃなかったら半殺しにしてたかも。


「ごめんなさいねアイリスさん。神田は私が男性の方に絡まれていたのを助けて下さったの。」

ぶっちゃけあんたに謝る意味がわかんねェよ。神田くんは助けたくて来たんでしょうに。ユーくんは逃げたくてだろうけど。


心の中でめっちゃ重いため息を吐いたその時、頬から鋭い音が聞こえた。


パァン


「生意気な口聞かないで。頬を叩かれるくらいで済んでよかったわね。」


生意気?いやいや、それはあんただよ。僕に指図するな。

頬を叩かれるくらいで済んでよかったわね?

あはっ!叩ける立場にいてよかったね。つーか叩いてたんだ。そっちの手の方が痛そうに見えるよ。


あー…なんか護衛したくなくなった。ボイコットしようかな。


こういうとき、殺人衝動に駆られる。


というか壊したい。


テキトーに遊んで


殺して。と言いたくなるくらいに追い詰めて


それでもまだいたぶって


最後に心臓を盗んで殺すんだ。




子供だから、あまり手は掛けたくないんだけどね。



そこまで考えてから、この衝動を押さえるために軽く息を吸って上っ面だけの笑顔。顔だけでも笑っていたらとりあえず落ち着くだろう。
ここは一応パーティー会場。ここにいる人間は腐ってもマフィア。普通、顔を見せるなんて馬鹿なことはしないけど。


「なにか言いなさいよ。」


めんどくせェよ、あんたと話してるだけ無駄。


と言おうとしたのを飲み込んだ時、アイツの後ろでやっとモグラが動き出した。ガッとアイリスのドレスの襟を引っ張って自分の後ろにやると、肩に焼けるような痛み。

音が聞こえにくいから消音機(サイレンサー)付きか…。

青いドレスが血に染まる。


アイリスが、え?なんてマヌケな顔をしてるうちに神田に渡し、爪を鋭くしてモグラの心臓を抜き取った。 page:
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