25/32 「あれが例の我が儘プリンセス。」


そういう緋彗の視線の先には金髪翠眼で桃色のドレスに身を包んだ女。服装が緋彗とよく似ている。


「あ、言い忘れてたけど僕アイツの姉妹設定だって。」

「だから服装が似てるのか…。」

「うん。じゃないと姉妹っぽくないから。」


緋彗はそういうと、お父様〜!と言ってドレスの裾を少し持ち上げて男の方へ走った。ずいぶんキャラ変えてんな…。

そして首に抱き着き、ソイツの耳元でボソリと喋った。


「本日は御依頼真にありがとうございます。依頼のランクはDなので25ギニーを後ほど受け取りに行きます。それと…


お父様!新しい執事が私に就きましたの!!神田と申しますのよ!」


オレが執事かよ。つーか年齢的に大丈夫なのか?とそう思うオレの腕を引っ張って連れていく。

ボロ出さないように口数は少なめにね。と耳元で聞こえた。


「お父様、アイリスさん。この子は私の執事の神田っていうの。」


軽く会釈すると視線を感じた。


「神田…はわかりましたけど、お父様、この方は誰ですの?また新しい愛人の子?」

「あぁ、緋彗と言うんだ。お前とよく似ているから連れて来たんだ。仲良くしてやりなさい。」

「よろしくアイリスさん。(は?こんな高飛車に似てるわけねェよ。)」


アイリスは緋彗の顔を少し見てからオレを見る。


「神田…と言ったかしら?」

「…はい。」

「こんなどこの馬の骨かもわからない泥棒猫の子に仕えるより私に仕えなさい。」

「(なんだこいつ…。)
ですが…。」

「いいわよねお父様?神田はこんなブスより私の方が似合ってるでしょう?」

「そうだね。お前の方がずぅーっと可愛いからね。」


なんだコイツら。どんだけ身内が好きなんだよ。つか緋彗がこれを黙って見れるのか?


「私は一人で平気ですから神田はアイリスさんの方に逝きなさい。(え、なにアイツ。マジで可愛いと思ってんの?このドブスが。死ねばいいのに。死ねばいいのに。死ねばいいのに。死ねばいいのに。)」

「はい。(字が違ェ…。)」


緋彗はニコリと笑ってから会場の中に入っていった。任務だとこんなに切り替わるんだな。と感心した。


「神田、行きましょう?」

「…はい。(ウッゼェ…。)」


腕を絡ませて上目遣い。欝陶しいだけだからやめろ。と言いたいが任務だと言い聞かせて、自分でも褒めてやりたいほど我慢した。ホントよく頑張ったオレ。 page:
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