12/32 「手合わせ…だったよね。」

「ここでやるのか?」

「というかここはどこだ?」

「うちん家。」


準備体操をしながら答える。一旦、屋敷に戻って昼を食べてきたから荷物はないし、さっき殴られた緋彗の頬は湿布が張られていた。


「家に川があるじゃん。まわりは、ほぼ森だし。」

「アクサって奴は屋外にでるんでしょ?いいじゃん実践向け。」

「アクマな。オレは賛成だ。」

「私もいいことだと思うぞ。さっさと始めろ。」


1番はデイシャ、2番にユーくんとなった。マーくんはやらないらしい。

イノセンスの使用は有り。
武器も相手を殺さない程度のものなら許可。
相手が負けを認めたら終わりの単純なルール。


「じゃあ始めようか。」


その掛け声で始まった。

ザッとデイシャが突っ込んで来て隣人ノ鐘(チャリティ・ベル)を発動させ、蹴った。それを軽く前のめりにジャンプし無駄なく回避。そのままデイシャに向かう。




「わっ…!」


背後から高音がして足元が崩れ、体勢がふらついた。


「もらったじゃん!」


空中で隣人ノ鐘を構える。


「なめんな。」


だけど緋彗は懐から出した長いタオルを少し川に浸し、鞭のようにしてデイシャの足を捕らえて地面にたたき落とした。
ドッと鈍い音がする。


間髪を与えずにデイシャの腕を背中に回して動きを止めた。


「ハン!」

「負けちまったじゃん…。」


デイシャは負けを宣言した。


「ハイ次ユーくん。ぶっちゃけ、傷痛いんでさっさと終わらせよ。」

「オレが勝ってな。」

「む。」


ちょっとムカッと来たので、パッとでかい鎌を出す。


「どこからだした?」

「作った。ユーくん達の言い方だとイノセンス?ってやつ。」

「!
だから師匠はこの街に来てから、ろくに聞き込みをしなかったのか…。

まぁいい…始めるぞ。」


その瞬間、緋彗は消えた。


ゴッ


「Σ痛っ!」

「バカだろ。」


「うわ…オレ、あんなマヌケな奴に負けたのかよ。」

「みたいだな。」


緋彗は足が縺れて転んだ。ぶっちゃけ、半ベソ掻いてる。


「(鼻打った…!!鼻血!鼻血でてないよねぇっ!?)」


ゴシゴシと腕で拭う。ウン、血は出てない。


「もぉしわけない。再開するよ。」


目付きが変わった。 page:
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -