むくりとアイツが起き上がる。
「むぅ…、血生臭…。」
そう言ってソファーにもたれる。
「何見てんの?」
「なんとなくだ。」
オレが起きているのに気がついたらしい。
「緋彗昨日、英語…。」
「なんだよいきなり。英語はちょっとしか話せない。」
「じゃあ昨日の歌はなんだ…?」
「義母さんから聞いた鎮魂歌。」
「なんで歌ったんだ?」
「なんとなく…。」
表情が陰った。なにか理由があるのか…。
「あ。」
思い出したかのように声を上げる。
「なんで名前知ってるの?」
「聞いた。」
「ふぅん。あんたの名前は?」
「神田ユウ。」
「ユーちゃん?」
ゴッ
鉄拳が飛んだ。
「痛い…。」
「オレは男だっ!それにファーストネームで呼ぶんじゃねェッ!!」
「じゃユーくんで。」
ゴッ
本日、二度目。
「話し聞けっ!ファーストネームで呼ぶんじゃねェっつってんだ!!」
「や、やるな…おぬし。」
暫く、痛みに悶えた。ホント痛くて涙出た。 ←→ page: