7/32 朝起きると生臭い臭いが鼻についた。ソファーに目を向けるとアイツが腕を額に置いて寝ていて、血に濡れた髪が頬や額に張り付いていた。

むくりとアイツが起き上がる。


「むぅ…、血生臭…。」


そう言ってソファーにもたれる。


「何見てんの?」

「なんとなくだ。」


オレが起きているのに気がついたらしい。


「緋彗昨日、英語…。」

「なんだよいきなり。英語はちょっとしか話せない。」

「じゃあ昨日の歌はなんだ…?」

「義母さんから聞いた鎮魂歌。」

「なんで歌ったんだ?」

「なんとなく…。」


表情が陰った。なにか理由があるのか…。


「あ。」


思い出したかのように声を上げる。


「なんで名前知ってるの?」

「聞いた。」

「ふぅん。あんたの名前は?」

「神田ユウ。」

「ユーちゃん?」


ゴッ


鉄拳が飛んだ。


「痛い…。」

「オレは男だっ!それにファーストネームで呼ぶんじゃねェッ!!」

「じゃユーくんで。」


ゴッ


本日、二度目。


「話し聞けっ!ファーストネームで呼ぶんじゃねェっつってんだ!!」

「や、やるな…おぬし。」


暫く、痛みに悶えた。ホント痛くて涙出た。 page:
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テーマ「人外ファンタジー」
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