ガチャとドアを開ける。すると小さい寝息が聞こえた。
あぁ、確かうちは部屋足りないんだっけ…?
そう思いながら、コートを脱ぎ捨てる。血と雨を吸っていて、ベシャッと音がした。シャワーも浴びずにソファーに倒れ込む。
「はぁ―…。ただいまリュカ…。」
長い溜息をしてから、銀のゴーレムに声をかける。体は疲れ切っていて重かった。
ベットにいた黒い影がむくりと体を起こす。
「寝てていいよ。」
僕の口から出たのは日本語で、英語じゃないとわからないんだっけ。と言い直そうとしたとき
「いい。」
日本語で返された。
「…驚いた。あんた日本人なわけ?」
「あぁ。日本語は少ししか話せないが。」
「ふぅん…。」
日本人なんて滅多に会えるものじゃないのに…意外だな。
「あ、そうだ。ここの部屋の物は勝手に使っていいよ。僕はソファーで寝るし。」
「悪いな。」
「別に。あんたらは客人だから。」
客は丁重に扱わなければならない。コレ、マナーの基本。
そういえば、傷の手当してないな。と体を起こすとグチ…と鳴った。
「ちっ…。
僕、手当してくるから寝てていいよ。」
僕は廊下に出た。 ←→ page: