210000HITと称した復活祭\(^O^)/ | ナノ

久しぶりに来た学校に、殆ど変わりは見られなかった。少しボコボコしたグラウンド、置き傘ばかりが置いてある昇降口、きつくないくらいの消毒液の臭いのする保健室、年度末だからかファイルが積まれた机ばかりの職員室、みんなが飛び降りるから、着地点だけ色の剥げた階段、一クラスだけ他のよりも若干草臥れている教室。すべてのものの位置が私の記憶と、そう変わらない位置にあった。体育館のあるであろう方向からはマイクで拡張された気怠げな声が生徒の名前を読み上げているのが聞こえる。相変わらず、銀八の声は力が入ってないくせによく通るなあ。と、ドアノブにある鍵穴をクリップでガチャガチャいじれば、屋上に続く鍵は、相変わらずすんなりと開いた。


「あれ。」


春特有の強い風で舞う髪を押さえながら前に進むと、あるはずのない人影がフェンスに寄っかかって下を見ている姿が見えたので声をあげる。さらに、私の声で振り向いた人影がよく知った顔であったので、少し目を丸くして、おかしいなあ。と声を上げた。


「卒業式はどうしたの?」

「なまえが来るって聞いて抜けてきた。」

「あれ、一年前は先生をつけてくれたのに。生意気な。」

「あん時は、曲がりなりにも養護教諭の教育実習生だったからに決まってんだろ。」

「でもその前はなまえ姉ちゃんって呼んでくれたよ。」


こーんなちっちゃいときから、ずっとそうだったのに。と膝より少し上で手を振ると、うっせェ。と顰めっ面が返ってきた。もう、ガキじゃねェよ。だなんて、なんともまあ、可愛げのない子である。


「卒業証書持ってない人は、高校卒業したとは認めませーん。一生ガキンチョ扱いですぅー。」

「嫌だね。ふざけんな馬鹿。」

「ふざけてないよ。高校の卒業式は一回きりなのに、勿体無い。」

「なまえだって、それこそ大学の卒業式最後だろ。いいのかよ、こっち来て。」

「うん、終わってから来たの。だからスーツなんだよ。」


ほら、だから、晋助も行ってきな。と背中を押した。思い返せば、この子の卒業式は何時も私が彼の両親に代わって出ていた気がする。姉ちゃん見てるし、銀八は晋助が抜けたこと何も言わないから。と頭を撫でれば、子供扱いすんな。と手を払われた。つくづく可愛げのない子に育ってしまったものだ。ハイハイ。と、彼が懐かなくなったことに寂しさを覚えながら手をおろす。大人になるってこういうことなんだろうなあ。と苦笑すれば、不意に彼の顔が眼前にあって、呼吸が止まった。


「っは、」


ガシャンとフェンスに両腕が押さえつけらてた痛みに声をあげてしまい、ぬるりと彼が咥内を蹂躙しにかかる。両腕は彼の左手で一つに纏められて、右手で後頭部を押さえられながら耳を撫でられてしまえば、抵抗する力が抜けてしまった。晋助の顔である。きっと四歳上の私より、ずっと経験も豊富なのだろう。耳の中に指を差し込まれ、下半身からガクリと崩れ落ちても、彼は咥内から耳に唇を移すだけで、私を貪り続ける。やめよう、晋助、落ち着いて。と、途切れ途切れに伝えるのだが、耳を食んで舐めて、したを入れる彼に届いてるのか定かではない。耳の後ろや首やうなじに何度も吸いつき、遂にはシャツのボタンを外して胸元に唇を当ててきたので、しんすけ!と上擦った声で彼の名を呼んだ。やめよ、ほんとに。とたどたどしく続けると、少しだけ息の乱れた彼が、熱で浮かされたような隻眼で私を捉える。


「だから、ガキじゃねェっつってんだろ。」


カプリと私の首に噛みついて、彼はシャツのボタンをとめていく。何も答えられないでいる私の目元と唇に軽く唇で触れると、いい加減、男として見ろ。馬鹿野郎。ともう一度口付けられた。そんな彼が立ち上がって、卒業証書持ってたらいいんだな。などとほざくので、大企業の総合職か社長か、とりあえず金持で安定した収入あったら考えてあげる。と返せば、やってやろーじゃねェか。といい顔で言うので、どうして私を、いつから私を、という疑問が頭に浮かんだ。




手短に本題だけで済ましてみた。久しぶりすぎて似非杉ですみません。
3Z高杉と元3Zの近所のお姉さん。養護教諭の教育実習生やってたときは高杉くんの嫉妬っぷりがハンパなかったことと、実は前から付き合ってて実習生のときは隠してた設定書こうとしたけどやめた。
莉リクエストありがとう!受験がんば!
20130201