「いやあ、よくない。実によくない。これは一体どういうことかな沙弥くん、え?」 説明して弁解を謀ってみたまえ。と顎を少し上げて横柄に問えば、や、フツーに私のデータ作り直しちゃっただけっていうか………てへぺろーしょん☆とか言い出したので無言で顎を掴んだ。 「いだっ、いだだだだだだ!!お姉ちゃんに何すんのパンツ盗むぞ!」 「ごめん聞こえなかったもう一回言ってみ。」 「パンツ盗、ぎゃあああああいだだだなんでもないですなんでもないです!」 「オメーが何したいかなんてしったこっちゃねーんだよ。データをどうしたって?オメー、さっきなんて言った?あ?」 「で、データ作り直しちゃ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい消しましたごめんなさいごめんなさいちょっとしたヘマでしてえええいたいいたいいたいいたいいたいいたい!!!!」 流石に可哀想かな、と思って手を離してやると床に片手をついて、もう片方の手を頬に寄せて、なまえ…鬼畜…ステキ!さ、この胸に飛び込んで悲しみを癒すといい。などと両手を広げたので、お前のせいだろ!とその胸を蹴った。反省してんのかお前。 僕がなんで怒ってんのかわかってんの!?と胸倉を掴んで揺さぶると、最近の子っていやね、何よデータ消したくらいで。と更に火に油を注ぐようなことを吐き捨てる。いやいやいや、開き直るなよ。つーかさっきから何ゲームのデータ消したみたいなノリで話してるわけ?並中の会計Excelやられてんだよ。ゴミ箱にもないって悪意なきゃできない所業だろーがよ。せめてもうちょっとしおらしくなれよ。そして出来ることならそのまま干からびてくれ。 そこまで考えてから、まてよ?と首をひねってから通学鞄にかけよる。ゲームの電源をつければ、ポケットモンスター…通称ポケモン。この世界にはたくさんのポケモンが以下略である。もう一つもつけてみると、装備が明らかにユクモノ笠ユクモノ胴着ユクモノ籠手ユクモノ袴ユクモノ大剣と初期装備である。いや、片手剣じゃないのでちょっと進んでるのかもしれないけれど、おまえ、おまえ…。 「おまえええええええ!!!!!」 もうまじでお前許さん。と首根っこを掴んでリボーンにこの怒りを公平に訴えようと扉に手をかけたときである。扉の取っ手が勝手に下に下がり、すかして額に激痛を感じた。 「沙弥僕のポケモンに一体何したの!」 「私のデータ作り直しちゃった。」 うわあああああああ……。と突如膝を崩す恭兄に、おまえもか。と憐れみの視線を投げかけた。僕の、6V色違日照りキュウコン…。と呟く恭兄は実に哀れである。厳選どころか乱数に手を出したポケ廃のデータに手を出す沙弥姉がただただ恐ろしい。 「泣かないで恭ちゃん、ほら、だって恭ちゃんメガニウムほしいって言ってたからお姉ちゃんさ、」 「アンタそれ八年前金銀でやらかしたときも言ってたろ!あの時はバクフーン!今回はメガニウム!だから何!?持ってるから!」 恭兄も怒りで何が言いたいのかわからくなってきたのだろう。だから何とはこっちの台詞である。この間やっと色違の6Vキャタピー生まれたのに!カエラを返せ!と行き場のない怒りを床にぶつけ(沙弥が怖いからである)、涙ながらに訴える雲雀恭弥は本当に並中一恐れられている男なのか疑いたくなる。実際ただのクソオタだし。キャタピーにカエラって名前付けてるし。バタフライ繋がりなんだろうけど、アゲハントはどうするんだろうか。ポルノ?いやすぎるそんな蝶々。 「僕のジャックも、消え…うあぁぁ……。」 「(かわいそ。)」 「ごめんね、ごめんね恭ちゃん、お姉ちゃんなんでもするから泣かないで…。」 「データ復活させてよ。」 「それは無理だわ。」 「なんでもするって言ったじゃない!」 恭兄がギロリと涙目で沙弥姉を睨むと、恭弥くんいいねー、尖ってるよいい感じ。と雑誌の撮影の如くシャッターを切り出す。どこから出したと言わんばかりの早業だったが、黙れ!と恭兄に即粉砕されていた。ばかめ。 「まぁまぁ、そんな怒んないでよ。ジャックったって伝説のポケモンじゃないでしょ?ならいいじゃん。」 「なんで沙弥が丸く治めようとしてんの。元はといえばお前のせいだよ。」 「てーかポケモンはいいよ、僕コードフリーク派だし。でもモンハンと並中会計Excelは解せん。」 「は?沙弥、Excel消したの?は?どうすんの?ていうかどうやったら消せるわけ?」 「私情弱だから許して恭ちゃん…。」 「情弱どころの騒ぎじゃないから許さない。」 「死んで詫びても許されないレベル。」 「やだ二人揃って鬼畜…っ!」 頬を染めるバカは無視して、なまえ、データ見つかりそうなの?と問われ、サルベージ中。でもなんかやけにレスポンス悪いんだよね。イライラする。と答えた。USBやゴミ箱からは消え去ったけれど、パソコンに操作履歴があったら復活できるかもしれない。ファイル総浚いのついでにいらないデータはゴミ箱に捨てていく。 「なにこれ。」 「どうしたのさ?」 「マトリョシカフォルダだって。そんなの作った覚えないんだけど。」 「開けて。」 背後で、あっ、だめ待って!と声が聞こえた気がしたが、幻聴だろう。構わず開けると爆発しますフォルダが現れた。なにこれ。恐らく忠告であろうフォルダ名をシカトしてダブルクリックすれば、今度は、何故嘘だとわかった?フォルダである。さらにクリックすると、いいだろう。認めてやるフォルダが出て来たのでいい加減全部ゴミ箱に入れて消去したくなった。なめてんのかこれ。 「あ、なんか今度いっぱいフォルダ出てきたね。」 「なまえ寝言音声フォルダ、いらない。なまえ画像フォルダ、いらない。なまえメールバックアップフォルダいらない。なまえメル画いらない。なまえ合成喘ぎいらない。なまえアイコラいらない。」 「あああああああああああ宝がぁ!私の宝がぁぁあっ!!」 「なまえ無表情で呟きながら削除するのやめてこわい。」 「恭ちゃん寝顔フォルダ。」 「マトリョシカフォルダから処分して。」 「まかせろ。」 「いやああああああああっ!!!!!」 頭を抱えて仰け反る沙弥は視界に入れず、ドラッグしてゴミ箱に移す。いい気味だ。というのと、こいつまじ気持ち悪い。という気持ちを胸に抱きながら、ところでさあ。と恭兄に話し掛けた。 「ジャックってなに?だれ?スターリンはプクリンでチャールズがマンムーなのは知ってたけどさ。」 「オオスバメ。由来聞きたい?聞きたい?」 「興味ないわ。」 どうせ対した理由もないんだからと切り捨てても、大して気にする風もなく。ドゥルルルルルルルと巻き舌で小太鼓の音を真似し始める。流石に沙弥姉の弟なだけはあるな。と若干苛立ちながらゴミ箱を開く。 「実はジャック・スパロウからでしたー。」 「スパロウは雀ですけど。」 「え?」 「燕はスワロウですけど。どっちかってーとオニドリルの方がジャックだったね残念残念。」 「う、」 「あっ、あったあった。よかったバックアップはマトリョシカフォルダに入ってたんだ。」 「うあああああああああああバカ!なんで先に行ってくれないのさ!」 「いたっ!ちょっとトンファー投げんなし!沙弥姉も便乗してマウス、ああああああああああああああああああああああ!!!!!」 「あ、保護っとこうと思ったら間違えちった。」 「有り難迷惑だよ!」 余りにも反省してなさすぎるので帰宅後即真剣にリボーンに訴える所存。 ギャグも甘いのも書けなくなりました。 20130710 |