紫 夢見る 素敵な 罵倒 | ナノ


成神健也

後輩
不快

とにかく、不快

辺見の脳内でそのような連想が成されるのは容易いことだった。

「好きです。」

「黙れ」

「愛してます。」

「だ・ま・れ。」

これほど微塵の嬉しさもわかない愛の言葉が辺見の人生にあっただろうか。
成神に口という器官および喋る機能が備わっていることを怨めしくすら思う。
不快を顕にする辺見に、成神は成神で、隠すでもなく大きく肩を竦めた。
聞き分けのない、幼児を見るような表情で。

「あーあ…。最後にヤったのいつだと思ってんの?あんたそれでもホントに男なんスか?」

「てめえこそよく考えろ。俺は男だっつの。誰にナニをねだってんだ、ったく…。」

真面目に会話を続けることが馬鹿馬鹿しくなったので、言葉の代わりに溜息を吐き出した。
ここ最近、辺見はよく溜息を吐く。しあわせは…どれくらい逃げただろう。
成神はいやらしく笑い、意味ありげな視線で辺見を舐めた。

「男だからこそ、じゃないスかー。俺にぶちこまれてアンアン鳴いて女みたいに気持ちよくなっちゃう辺見さん超かわいいっスよ。男なのに!」

「…死ね、この変態のクソ野郎が。」

「っはは、辺見さんにだったら殺されてみたいなあ!でも死ぬ前にお願いが…」




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