しずかな夜の、小さなちいさなおいのり | ナノ



なんだか眠れなくって、まぶたの内のまっくろい海をじっと見詰めていた。そしたらだんだん寝るのが怖くなって心臓がいつまで動いてくれるのか不安で仕方がなくなった。
こんな夜は魔法の言葉を唱えるんだ。

「そめおかくんそめおかくん、今日もいい夢を見てね。」

実際には届くはずもない小さなちいさな声。でも、祈りは僕をあたたかい気持ちにさせる。心のぽかぽか、つまり染岡くんへの深い想いは冷えた身体までもあったかく包んでくれた。
僕には祈りを捧げる人が、まだいるんだ。だから今夜も大丈夫。
ね、そうでしょ染岡くん。
明日聞いてみたいな君に。どんな夢を見たのか。少しでも僕がいたらいいな。
だから今夜はおやすみなさい。
おやすみ、おやすみ。
いとしいひと。


夜にいのりを