海葬 | ナノ


ああ、綱海。お前は海の男で、だから当然海をなによりも愛している。もちろん俺はそんな所も含めてお前を好きになった。海とお前は切っても切り離せない仲だもんな。もしお前が海を好きじゃなければ、俺がお前に抱くこの感情はまた少し違っただろう。もしかしたら普通の友達だったかもしれない。あるいは、知り合いですらなかったのだろう。だから綱海、海を愛しているお前を俺は愛しているんだ。だが、時に俺は海に嫉妬する。馬鹿馬鹿しいと笑うだろうか、笑うだろうな。綱海、綱海。俺は海になりたい、海になりたかった。お前がいつも求めて、焦がれて、愛して止まないあの海に。だからせめて、俺が死んだら遺骨は海にまいて欲しいんだ。そしたら俺は海になれるから。
なあ、綱海。どうせお前も死んだら海に還ってくるんだろう?

そしたら二人で、海になろう。


海に還る