ストローで飲料をちゅうちゅう吸いながら、ヒロトはじっと風丸を見つめている。風丸はそれを別段気にするわけでもない。ヒロトが対象をじっと見るのはよくあることだ。こういう時はたいていヒロトの精神はどこか遠くに居る。 ストローがずずず、と行儀の悪い音を立てる。風丸はそれを無言で咎めた。 ああ、ごめんね。 仕草でそう謝罪して、ヒロトはそういえばと天気の話をするような口振りで言った。 「俺、最近円堂君より風丸君の方が好きな気がしてきた。」 「安心してくれヒロト。それはただの現実逃避だ。」 風丸の返答はまさに疾風のごとくであった。 |