気づいてください探してください見つけてください。 | ナノ



部活の練習をサボタージュして、街にふらふらと出掛けてみた。
サボタージュ、現代人風に言えばサボった、そう、部活をサボったのは別に練習が嫌だったからとかちょっと悪いことをしてみたかったから…とかいう理由ではない。
ただ、誰か気づいてくれるかな…という、後ろ向きに前向きな切実な願望からだ。でも、ポケットをそわそわ触っても小さな通話機器はうんともすんとも言わない。寂しいな…はははは…。
かわいたあやしい笑いを浮かべて歩いても、すれ違う人々は無反応だ。ますます寂しい…。こんな気分ではどの店にも入る気になれない。すべてが手持ちぶさたで、身体の中がすかすかだ。
結局考えるのは雷門のみんな、今頃何してるんだろう…ということしかない。そわそわ。ポケットの中は静かで穏やかだ。でも、よく考えたら音沙汰ないのも当然だ…。俺はいまだに誰ともアドレス交換なんてしたことがなかったのだ。
ははは…。


気の利かないサボタージュ