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つなみじょうすけ


綱海条介は幼い頃からその抜群の運動神経を遺憾なく発揮していた。
身体の神経が鋭いと感覚の神経も同様に鋭いのだろうか。
不思議なことに、彼は海の声を聞くことが出来た。生まれ育った環境がそうさせたのかもしれない。四方をぐるりと囲まれた沖縄という小さな島で育った条介の傍にはいつも海があった。近所の子供達と活発に遊ぶ一方、彼はよく海へと足を運んだ。
優しく穏やかで、時に厳しく。
海は条介にとって、母であり父であった。