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はんだしんいち



半田真一は目立つということをなによりも恐れていた。物心ついた時にはすでに人並みに生きようと懸命だったのである。
ポジティブに目立てば人気者にはなれるが、同時に妬みを買う。ネガティブに目立つと、いじめられたりつまはじきにされたりしてしまう。真一は、幼心にそのような社会の様相を感じとってしまったのだ。
平均に平均に。
それが幼い真一のとった自己防衛策。その防衛策が、後にコンプレックスとなって自身を苛むようになるとは、この時の彼にはまだ知る由もないことだ。