過去/未来 | ナノ





なぐもはるや

飼っていた犬が死んだ。
南雲晴矢はわあわあ泣いた。
二つの意味で家族の誰よりもその犬を大事にしていた彼にとって、それを"つまらないもの"として片付けることは到底無理な話であった。
冷たくかたく、不快なにおいのする犬の傍で張り裂けんばかりに泣きながら、南雲は唐突に気がついてしまった。
本当に楽しいものがつまらないものになってしまうのは、こわいことだ。

しぬというのは、こわいことだ。