過去/未来 | ナノ





すずのふうすけ


幼い頃・涼野風介は自身の肉体の脆弱さ、もしくは精神の未熟さ故に"生"に対して絶対的な猜疑心を抱いていた。
何故人は生きていられるのか。
彼は何度も両親にこの問を投げ掛けた。が、大人たちは、子供の素朴であり鋭くもあるこの質問を曖昧な笑みでやり過ごすだけであったので、風介は自分なりに答えを探さなければならなくなった。
そして結果として、彼にとっての"生"とは"奇跡あるいは偶然といった不可解な何かが気まぐれに継続させているに過ぎない不確かなもの"となってしまったのである。