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あの青い夜から月日は流れて16年…



私は今、祓魔師(エクソシスト)として生きている。




***






某所、郊外ーー


ただ平穏無事に暮らす人々の裏で、私は悪と戦っている。



…ウソです。



正確には、得体の知れない悪魔の生み出した、数多の部下?みたいなのを殲滅しようとしている。

戦隊ヒーローものでいうとこの、あの最初に中ボスがワラワラと従えて、ヒーロー達の足止めをしているアレ、みたいな。


…え、分かりづらいって?
申し訳ないが、正直私にも分からない。





「なまえさん、もう少しさがってください!」

『あのねぇ、雪男。私だって雪男の年の頃にはもう祓魔師だったの!わかる?先輩だよ?』

「ダメです。なまえさんは見てて危なっかしいので、さがってください」

『っ、何それ、人のこと馬鹿にして…!』

「そ、そんなつもりは…」





会話をしているが、勿論2人とも戦闘中だ。


同じように2丁拳銃で倒してはいるものの、最初に比べてどのくらい減ったのかはよく分からない。



何より、あの悪魔…初めて見る。
ワラワラ沢山いる、魍魎(コールタール)よりは大きいが、丸みを帯びた小さめな悪魔。
その後ろに控える、大きい悪魔。
見た目はどちらも同じで、小さい奴らが合わさってああなったのか…皆目検討が付かない。



一言で言えば、不気味。
あの、まるで人を模したような顔。



何の眷属かさえも検討が付かない。
そのせいで他の祓魔師は調べに回っているのだが…とりあえず、幸いなのはここがあまり民家のない郊外だということだろう。思っていたより、こちらの任務に祓魔師が動員されている…はず。
この人手不足、本当につらい。


徐々に蓄積される疲労に加え、分からないことだらけの現状に、少し苛立つ。

勿論、私の斜め後ろにいる彼…奥村雪男の先ほどの発言もその苛立ちの要因ではあるが。






「それだからお前はいつまでたっても、ビビーリメガネなんだよ。あ、あとヘタレか」

『シュラ!』





心強い声に振り向けば、少しばかり頬の赤い彼女…霧隠シュラがいた。

ここに来るまでに少し呑んできたのだろうと、そのブレない姿に、つい笑いがもれた。





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