幸せだった過去
ーサクラSideー
前の学校でも1人で本を読むことがあった。
ここの学校も、前と同じ。
ただ私は好きなことをしているだけなのに。
何が気に食わないのか、毎日暴言の嵐。
『暗い』とか、『キモい』とか…
あまりにも言われ慣れた拙い言葉。
ああ、やっぱりここでもか…
って、すぐ納得した。
でも、前の学校のクラスの中には、私の性格とか、よく分かってくれる人がいた。
その子は、本はあまり好きではない…それなのに、私のために、自分なりにサーチしたオススメの本を教えてくれたり、好きな作家さんの最新作の情報をくれたり…
その子はよく、星の話しの本をよく勧めてくれた。
一番の理由は、そういう類の本は、挿絵がとても色彩が美しいからだったと思う。
でも、彼の瞳は宇宙のように人を惹きつけるような蒼さと深さを持って、星のようにキラキラしていた。
ある日、いつものように図書室で二人。
この日私は、彼に別れを告げた。
一度だって考えたことのない、別れを。
「サクラちゃん!」
俯いた私の名前を呼んで、彼は私に前を向かせる。
「サクラちゃんはいい子だし、他の学校に行っても大丈夫だってばよ!本当のサクラちゃんを見つけてくれる人は、絶対にいる!…まあ、オレよりわかる奴はいないだろーけど」
「……調子に、乗り過ぎ、だから…」
へへっと笑う彼につられそうになる。でも…
「だから、今みたいに下を向いちゃ駄目!」
「……」
顔が強張る。
私をわかってくれる人なんて…って思う。でも、彼が言うなら、信じてもいいかな…とも。
「それでも、下を向いちゃうなら…オレが迎えに行くから!オレってば、星みたいにでっかいヤツになるから、それまで待ってて欲しいってば…!」
そこまで言って、しまった!って表情。
自分の言っていることの矛盾に気付いたのか、苦笑いして。
「…けどやっぱ、サクラちゃんは頑張って前向いて。その可愛い顔が見れないのは、勿体無いかんな!」
この時の笑顔を思い出すと、頑張らなきゃって気になる。
…でも、ごめん。
やっぱりまだ、前を向けそうにない…
幸せだった過去
彼を彷彿させる本を読み、私はあの頃にしがみつく。
End
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2014.02.10
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