少し優柔不断





サクラという名の勝利の女神の存在のおかげか、クラスの男女共に普段以上のチカラを発揮した球技大会。


結果はなんと総合得点で学年優勝を果たした。


そして、大健闘に終わった球技大会のご褒美として、担任のカカシから渡されたものは何故かケーキ割引券だった。






*******







「…何でケーキ割引券なんだろうな」





ケーキがこれでもかと並べられたショーウィンドウに張り付いて、どれにしようかと話しているサクラとナルトの後ろ姿を少し離れた席から見つめながら、ポツリと呟いたサスケ。


ふと周りを見ると、女子会らしきグループやカップルの多さに眉間にシワが寄る。


こんな所に男三人で座る現状に嫌気が差す。しかし、ここにはサクラがいるのだ。サクラのためだけに来たと言っても過言では無い。


それでも、豪華景品等と言って渡してきたあの担任を思い出しては、腹立たしく思うのはいた仕方ないことだろう。





「まあ、カカシ先生のことだ。どうせミタラシ先生辺りから安く買ったんだろ。ついでに生徒達の分も買ってくれ…みたいな」





そんなシカマルの予想に、全員が納得していた。あいつならやりかねない…と。





「「お待たせ!/だってばよ!」」





戻ってきたサクラとナルトはそれぞれが選んだケーキやら軽食やらをテーブルに並べ始めた。





「んな甘いモン、よく食えるな…」

「なら、サスケくんは何で来たんだい?」

「そうだな。態々オレ達に付き合わなくても、良かったんだぜ?」

「……」





まさかシカマルまで参戦するとは。


思ってもみなかった刺客に、サスケは口を噤む。





「もう、何言ってるのシカマル!サスケくんは同じバスケチームメンバーとしてこの祝勝会に来たんだから、そういうこと言わないの!ねぇ、サスケくん?」

「あ、ああ」





サクラがいるからだ…と言えたなら。この祝勝会だって、サクラのおかげで出来たなんて言えたなら、どれほど良いか。

こんな時に何も言えない自分に嫌気が差すサスケ。





「そうだね。折角サクラが頑張って手に入れた景品だから、しっかりケーキを味わいたいね」





そんなサスケの考えを読んだかのように、サイはサスケに視線を寄越す。


歯の浮くようなこと言いやがって!


…これは、サスケのみならず、ナルトも思っていた。





「それにしても、随分とケーキを頼んだようだが…?」

「それが、私はいいって言ったんだけど、ナルトが…」





悩むくらいなら全部!と何と無くでサクラが口にしたケーキですら注文したと言うのだ。





「…ナルト、お前本当に面倒くせぇぐらい馬鹿だな」

「な、何おう!?」

「ストップ!…確かにナルトの注文量は馬鹿よ?でも、私のことを思ってしたことだってことは分かってる…私が少し優柔不断なのがいけないの」

「そんなこと…」

「だからナルト、ありがとう」

「サクラちゃん…」




妙な二人の世界を形成し始めたのを見て、男三人は無意味な咳払いをする。




「ほら、さっさと食おうぜ」

「そうだね。とりあえずサクラ、これもらうよ?」

「あ、うん!」

「…お前ら、邪魔しやがって…折角、珍しく、サクラちゃんといい感じだったのに、ひどいってば…」

「フンッ、ざまぁねぇな」

「何おうサスケ!」

「ナルトうるさい!」

「やっぱり、オレってば、このパターンなのね!」





まったくもう!…といいながらサクラはケーキを一口、口に運ぶ。

その瞬間、目を見開くと、ついでその顔はふにゃりとした。





「…これ、甘さ控え目のはずなのに、すっごく美味しい…!」

「……よかったな」





サクラのあまりのテンションの上がり具合に驚くも、コーヒーを飲みつつ、柔らかな笑顔を浮かべるサスケ。

それをからかおうと、サイが口を開こうとしたが、それはかなわなかった。





「サスケくんも食べてみて!…はい、あーん…」

「っな!?」





何の躊躇いもなく差し出されたフォークをガン見しながら固まるサスケ

…だけでなく、全員が固まった。





「…ダメ?」

「っ、」





サクラ(ちゃん)が色んな意味でダメだろ…


男達の心情が一致した瞬間だった。



少し優柔不断

結果小悪魔になる

End
ーーーーーーー
超久々の更新…(^^;;

サクラちゃんは、かーいいーなー、もぅ!
ナルトの扱いは一定です(笑)
2015.1.20

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