スポーツ万能
そこそこ充実した練習と、シカマルによる作戦により、球技大会は上々な結果を出していた。
現在行われているのは、クラス対抗ドッチボール。
男子対男子、女子対女子、男女混合選抜チームの三段階の内、男子戦なのだが…
「「「「きゃーっ、サスケくん頑張ってー!!」」」」
対戦相手の男子個人を一心に応援する女子に、同じクラスの男子の士気は落ちるどころか、サスケを討ち取ろうと躍起になっていた。
流石のシカマルも、この展開は読めていなかったらしく、眉間にシワを寄せていた。
「ケッ、サスケサスケ煩いってば…」
「僻んでる暇ねーぞナルト」
「うるせー!」
「ま、本命には全員と同じ『頑張ろうね』の一言のみという残念さはあるけど」
「聞こえてるぞ」
「あれ、サスケくん。聞こえるように言ったつもりだけど、聞こえない方がよかったかな?」
「……」
「おいコラそこ。試合中にケンカすんなよ!」
一々突っ込むのも面倒くせーのに!といいつつ敵をアウトに追い込むシカマル。
ナルトはぐちぐち言いながらも、ボールを外野へとまわす。
サスケ、サイは涼しい顔を崩すことなく避けてはボールを取り、外野へとまわしたり、攻撃を仕掛けたりしていた。
正直、サスケに対する声援が目立っているが、遠巻きにサイへ熱視線を送る女子もいるため、この二人のクラスの出る試合はほぼ毎回熱量がおかしいことになっていた。
応援には自身のクラスの女子もいるが、その中にはサクラの姿はなかった。男子の試合中、サクラは体育の苦手な女子のサポートにまわっているのだ。
パスまわしをしたり、キャッチする時のコツをレクチャーしたり、ボールを渡す主要メンバーの確認など。
サクラが一通りアドバイスし終わった頃、男子の試合に決着がついていた。勿論、自分たちのクラスの勝ちにホッとするサクラだったが、自分の隣にいた女の子は違う意味で溜め息を付いた。
「どうしたの?」
「っ、サクラちゃん、私…本当に運動が苦手だから、絶対、皆の足引っ張っちゃう!そう思うと怖くて…!」
彼女の言葉に数人の女子が頷く。
彼女が微かに手を震わせるのを見つけると、サクラはその手を取り、頭を優しく撫でた。
それに驚き顔を上げた彼女の前には、その手付き同様に優しく、柔らかに微笑むサクラ。
「…大丈夫、私が守ってあげるわ!」
「「「「はぅっ、サクラちゃん!!」」」」
そのサクラの宣言通り、外野へと脱落した女子を、殆ど出すことなく相手クラスを叩き潰すという快挙を成し遂げた試合は、後に伝説として語り継がれたという…
スポーツ万能
やっぱりライバルが増える
(オレ今、何人かの女子のハートが射抜かれた音が聞こえたってば…)
(奇遇だなナルト…オレもだ)
End
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私もハートを射抜かれた内の一人です←
2014.09.04
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