優しくて元気
暖かい日差しが照らす公園には、家族連れやカップルの姿が多く見えた。
自分よりも前を歩くサクラと交互にみる。
オレも将来、サクラとあんな風に…
と、考える男、計四名。
「あーあ。これがサクラちゃんと二人っきりだったら最高なシチュエーションなのに…本当についてないってば…」
「黙れうすらトンカチ」
「まさか、体育館もグランドも全て他クラスが使用してたとは…」
「あの先生も、好い加減だよな。とりあえずどっかで練習してこいって…」
順にナルト、サスケ、サイ、シカマルは、先日決めたバスケットのメンバー。
競技の練習をしようと、休日にも関わらず学校へ行ってきたのだが、他クラスが全てのグラウンドや体育館を予約していたのだ。
まさかの事態に、担任であるカカシに相談にいったところ適当な返答をされたのだ。五人で話した結果、少し遠出だが、ストバスやテニスコートが完備されている自然公園に行くことになった。
因みに、これ程までに生徒達がやる気に満ちているのは、教師陣からのご褒美があるという話にのせられてであった。かく言うサクラ達のクラスも同様だが。
「でもさでもさ、バスケって難しそうだよなー。ボールは蹴っちゃいけないんだろ?我慢出来ないってば…」
「フン、それはお前がバカだからだろうが。そもそもオレ達は
バスケにしか入れなかったんだ。我慢しろ」
ナルト、サスケは二人ともサッカー部。自分の所属する部活の競技には出られない。
「んなの、言われなくたって分かってるってばよ!!…ホント、サクラちゃんがいるのが救いだってば…」
そう、彼らがでるのは男女混合バスケット。
女子がゴールすれば、+一点の変則ルールだ。
とは言っても、殆どの女子がバレーに行く。
「私だって、バレーがよかったのに!」とサクラは言っていたのだが、司令塔シカマルの「サクラがバスケに入れば、勝利確実だ」という一言に、負けたのだ。
シカマルの一言は、サクラ個人の戦力的意味は勿論だが、それよりも、サクラが入ったことによる男子陣のモチベーションUPにおおいに貢献する事実を意味していた。
まあ、オレもその内の一人なんだけどな…
と思いつつ、前を行くサクラを見た。
「…どうした、サクラ?」
何処か一点を見つめているのか、立ち止まっていたのだ。
かと思えば、一気に駆け出して。
「?…サク…あ、おい!」
サスケの制止も聞かず、サクラは数メートル先のベンチへ。そこには、自分たちよりも少し年下らしい少年が座っていた。
何か話しているようだ。
知り合いか?とも思われたが、それにしては、少年の様子はどこかよそよそしかった。
「オレ、最近上手く出来なくて…足でまといにしかなんなくて」
近づいて聞こえてきた言葉と、彼が小脇に抱えたボール…バスケットボールを見て、全員が少年の状況を理解した。
「なら練習して見返してやりましょう!」
「え…」
「私たちも今から練習するの」
俯きかげんの少年は、サクラの言葉に、ありえないという表情でサクラを見つめた。
サクラは少し屈んで、少年と視線を合わせる。
少年の頬が紅潮したのを、目ざといヤツらが見逃すハズもなく、軽く睨み付けている。
「よかったら、バスケット、教えてくれない?一緒に強くなりましょう?」
にっこり微笑みながら、サクラはスッと少年の前に手を差し出す。
「…わかった。いいよ」
少年はサクラの微笑みからの、とびきりな笑顔にやられたのか、頬を染め照れた様子で、その手をぎこちなくではあったがギュッと握る。笑い合う二人だが、少年は何処かいたずらっ子のような笑みにかわる。
「そのかわり…
お姉ちゃんをオレの嫁にする!」
「ぇ、っと…」
次に頬を染めたのは、サクラの番であった。
子供の言うことだとわかってはいても、そのストレートな発言に、不覚にもドキリとしてしまったのだ。
勿論彼の爆弾投下のおかげで、先程まで空気と化していた男達が黙っているはずもなく。
「いや、何でそうなるんだ…?」
「何言ってやがるガキ!」
「そうだってばよ!お前には、百年…いや、百万年は早い!!」
「早い?…それもそうだよね…」
ナルトの言葉にハッとしたかと思えば、シュンと項垂れた少年。
こいつ本当は、結構純粋なんじゃ…?
と一瞬でも考えたことを、男達は直ぐに後悔することとなる。
「まずは恋人からだね!」
少年は屈んでいたサクラの首に腕をまわすと、その白い頬にキスを一つ落とすと、サスケ達に勝ち誇ったような笑みを向けた。それは先程の睨み付けに対するお返しと言わんばかりに。
途轍もない可愛らしいリップ音が耳元でしたため、サクラは顔を一気に真っ赤に染め上げたのだった。
優しくて元気
そのせいでライバルが増える
(人の話を聞けェ!サクラちゃんになんてコトしてんだコラァーー!!)
(ぅわぁっ!?)
(こらナルト!小さい子相手に何してるの!)
((また、オレばっかり…))
End
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あざとい男の子って、色々侮れませんよね(笑)
ナルトの後ろでは、サスケが拳を上げかけたとかなんとか…←
2014.07.30
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