これが嫉妬なら


※現パロ
※サス→サク
※サスケが海外留学から帰ってきた(すみれ「02.一途なところ」続編設定)



ーーサスケSide




飛行機が日本の領空に入っても、空港に到着して、足を下ろしても、帰って来たとは、全く思えなかった。


あの桃色が視界に入った瞬間……俺は漸く実感した。




***




小さい頃から共にいた、幼馴染。


小さい頃から共にいた、兄さん。



兄さんは俺にとって、自慢であり、目標であった。

優秀な兄さんと比べられる事は多々あった。

幼心に《俺個人を見て欲しい》と思いつつも、やはり《兄さんは凄い!》という気持ちが上回っていた。


周りの大人たちは俺を見ればまず、兄さんの事を聞いてくる。どうしたって俺の事はその後だった。


それでも、一番始めに俺自身を見てくれる存在がいた。幼馴染のナルト、そしてサクラだ。


ナルトは俺が比べられる事に抵抗が少しあるのをわかった上で、兄さんの話しをワザとしてくるので、論外だが……サクラは違った。


真っ直ぐ俺だけを見てくれる。


サクラだけはずっと、変わらない。そう思っていたから…


ーー「イタチお兄さん、恰好いい…」


いつ、どこで、何でそんな事をサクラが言ったのかは覚えていない。ただ、少し熱の篭ったような眼差し、熱に浮かされたような声色…それらが全てサクラのモノだと理解した瞬間、まるで鈍器で頭を殴打されたような感覚になったことだけは、鮮明に覚えている。



そこからが早かった。



俺と兄さんの違いは何だ?

差は?何が足りない?何が欠けている?


どうしたら、兄さんと同じ…いや、兄さん以上になれる?


兎に角兄さんに近付かなければ…

…失ってしまう。



自分に余裕がなくなって、焦燥感が俺を攻め立てた。


早くしないと、兄さんにとられる。


兄さんがしていて、俺がして無いことを次々とやった。海外留学もその一つだった。




日本に帰国して、懐かしい顔なじみに会って、漸くサクラを見つけた時…隣にいる黒に一瞬気を取られた。

兄さんとは違った黒。

笑った顔で俺を睨む黒。


俺がいない間、サクラを支えてきたのは、ナルトでは無く、兄さんでも無く……サクラのとなりに、当然だと言わんばかりに立つサイという男だった。


頭では仕方ないと理解していても、心がそうでは無いと叫ぶ。



俺の知らない、あいつが知っている、サクラの…俺が知り得る筈の無いサクラの姿を見たい……サクラと共有出来なかった時間が欲しい。



これが嫉妬なら
(あまりに貪欲で…

あまりに浅まし過ぎると…

自分の事ながら、鼻で嗤ってしまった)

End?
ーーーーーーー
超久々に、サスサク!
急展開?
2017.3.12

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