偽りの無い性格



※現パロ
※姉弟(双子)設定








僕とサクラは双子だ。

殆どの人が、その事実におどろく。

まあ無理もない。僕とサクラはかなり似ていない。二卵性だからって、ここまで似てないものなのかというほどだ。


例えば、僕は漆黒の髪と瞳だけど、サクラの髪は桃色で、瞳は翡翠色。父親も母親もいないから、どっちがどっちに似たのかは、わからないけれど…



それから、今みたいにこうして出歩くとき。僕らは決まってカップルに間違えられる。

そのことが嬉しいなんて…この気持ちを誰かに知られる訳にはいかない。


似ていなくとも、僕らは「キョウダイ」だから。





***





「ごめんね、サイ。こんなことに付き合わせちゃって…」

「別に大丈夫だよ。他でもない姉さんの頼みだから」






サクラがこうして僕を誘って出掛けることはよくある。いつも一緒にいるのに、まわりの景色が違うだけで、サクラの表情もいつもとは違って見えて…僕を緊張させるには十分だった。


けれど、今回は特に緊張する…


『カップル限定デザートを食べたい』


これが今回の目的。勿論、サクラが僕をそういう風に見ていないことなんてわかってる。

けど、今は違う。

今だけは、『恋人』…そう思うと、僕の心臓は煩いくらいに反応した。






「ちょっと悪い気がするわね」

「いつも間違えられるくらいだから大丈夫なんて言ったのは、どこの誰?」

「……私、です」





本当に申し訳なさそうな顔をするけど、僕を誘った時に見せた、あの悪戯っ子のような笑顔は忘れられない。それに反則だと思う。

あんな顔をしてお願いされたら、断れるハズもない。






「姉さ…サクラはさ、僕のこと、好き?」

「もちろん好きよ?」

「……なら、今はいいんじゃない?好き同士ってことで」





まだ店員が近くにいたから、姉さんとは呼ばずに、名前呼びをした…なんて、勿論建前だけど。


本人を前にして呼ぶのは、とてもドキドキして…



そんなことを考えているなんて、悟られたくなくて(サクラは鈍い人だから大丈夫だろうけど)平静を装うようにコーヒーを飲みながら、視線は遠くの方へ向ける。



姉さんの顔が見れない。


直ぐに好きだと返してくれたことが嬉しい…なのに、自分の持っている好きの気持ちと、姉さんの持っている好きの気持ちの意味が違うことなんて、考えなくてもわかってる。



僕の好きを、姉として慕われていると思っているのだろう。


きっとそれが嬉しくて、ニコニコと笑っているであろうサクラの顔を見ないようにする。



ごめんね…優しい『姉さん』



偽りの無い性格
(僕には偽りしかないから…)

End
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2014.08.03

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