彼女の328番・後編(5/7)
その姿に一瞬デレッとしそうになったデイダラは、ゴホンッと誤魔化すように咳払いをする。
「まぁ、アレだ。うん」
「?」
「男の事情って奴ですよ♪」
「事情・・・むぅ、別に良いけど」
せっかく仕舞った携帯を再び取り出し、デイダラに渡そうとするが、デイダラよりも早くサソリが携帯を取った。
「おい、兄貴!」
「うる、せ・・ぇ・・」
あっという間に電話帳を開いたサソリは、珍しく言葉を失う。
サスケ、サイ、デイダラも画面を覗き込むと、ガチッと表情を固めた。
・・・それも其のはず・・・画面には、自分達の知らぬ男達の名前がビッシリ表示されていたから。
ギギギッと壊れたカラクリ人形の様に首を動かし、自分の方に向いてくるサスケ達に、サクラの肩は大きく跳ねた。
「な、何?;;」
「・・・何じゃねぇよ。なんだ、この数」
「か、数って・・・?;;」
「あははは。分かってるんじゃないんですか?」
「恍けるんじゃねぇぞ、小娘」
「オイラの目ぇ見て答えろよ、うん」
「ぅぅ・・シ、シカマル〜;;」
助け船を出してもらおうと、シカマルを涙目で見詰めるサクラ。
淡く頬を赤く染めるシカマルは、「あ〜」と言いながらサクラの頭を撫で、殺気立っているサスケ達に視線を向けた。
「あのなぁ・・・お前ら。サクラがどんな人間か分かってるだろ?」
「嗚呼、バカみたいに(可愛くて)無防備で、天然記念物も吃驚するぐらいの天然・・・だ」
「ぅうっ、サスケくん。酷い;;」
「・・・サスケ、本音を一つ仕舞ったな」
「うるせぇ!///・・それより、さっきのがどうした!?」
「勿体ぶらないでさっさと教えてくださいよ?」
底冷えするほどのサイの笑顔に、シカマルはワザとらしく肩を竦める。
「お前らが見てるソレ、この学校のほぼ全員分の名前だ」
「「「「・・・・・」」」」
「サスケが言った言葉通り、色んな奴に教えてくれって言われたから、『無防備』にホイホイ教えたらしいぜ?」
「よーし。全員分消去してやる」
淡々と言いながらサソリがカチカチとボタンを押せば、サクラは「待ってー!!」と叫び携帯を奪う。
消えてない事を確認して安堵すると、サクラはギッとサソリを睨んだ。
「もう、勝手なことしないでよ!」
「勝手なのはどっちだ!」
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