彼女の328番・前編(3/3)


そして、『仲良く』という言葉に突っ込むのも忘れるほど、サスケ達は寝転がったままのシカマルに、『何故解った?』と言わんばかりの視線を向ける。

すると、シカマルは黒さを含む笑みを浮かべながら、
「サクラからメールが来た」とストラップを抓み、自慢する様にプラプラと携帯を揺らした。

次の瞬間、四人の思考にピシッと亀裂が入った。


「なっ、なっ・・・」


珍しく言葉が満足に出てこないサスケに、シカマルはククッと喉で笑い、横目でサスケを見据えたまま携帯をポケットに戻す。


「サクラがお前を見てきた様に、俺は小学生の頃からサクラを見てきた・・いや見てるんだぜ?お前に傷付けられたアイツを慰めたり相談もしたりする。メールのやり取りが必需な様に、サクラにとって俺は必需者だからな。コレぐらい知ってて当然の仲って事だ」

「っ・・・!」

「ってワケで、サイも赤毛先輩達もそろそろ諦めてくんねぇか?俺にも限界ってもんがあるからよ」

「「「「・・・・・・・」」」」


シカマルには何時ものメンドクサイという色は無く、ゆっくりと起き上がって、鋭い目つきで四人を睨む。



すると、サスケ達は完全に覚醒し、ギッと同じ様に鋭い目つきでシカマルを睨みつける。


「・・・諦める?・・・ほざくなよ。クソガキ」

「嗚呼、そう簡単に諦める事が出来たら苦労しねぇんだよ、うん」

「そうですよ。何せ、相手は『あの』サクラですからね?」

「ふん・・・諦めるんなら、テメェが諦めろ。出来るもんならな」

「・・・・・」


其々の宣戦布告とも言える言葉。

一瞬だがシカマルは眉を寄せた後、はぁ・・っと大きな溜め息を吐き、再びゴロンッと横になる。


「あ〜あ(ホント、雲は良いよな・・・のんびりで)」


心底と雲のゆったりとした動きが羨ましいのか、フワッとしている真っ白い雲を見詰めながらシカマルは心の内で呟く。

表上は余裕面をしているが、サクラの事に関する事だと余り余裕が無く、IQ200と言えど、どんな方法で振り向かせようか・・・と毎回練るのに必死である。

無視してんじゃねぇ!!というデイダラの怒鳴り声と、複数の殺気剥き出しの視線を軽く無視し、シカマルは、そっと雲に向かって手を伸ばす。

すると、其れが合図かの様にギィ・・・っと屋上の古びたドアが開いた。


続く

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