彼女の328番・前編(2/3)
あっという間に先程の嘲笑を嘘の様に消したサソリは、掌に乗っている自分の携帯電話を恨みがましく見る。
サソリの『異常』な様子と携帯電話に、言い合っていたデイダラとサイ・・・まだ半分残っているお握りを持っているサスケは思いっきり顔を顰め、次の瞬間には大きな溜め息を吐いた。
「兄貴もかよ。チッ・・・オイラも昨日の夕方から、サクラにメール送信出来ねェんだよな・・・うん」
「「「・・・・・・・」」」
「サクラからも来ねぇし・・・」
デイダラの其の言葉で、サソリ、サスケ、サイは更に落胆する。
・・・在り在りと、皆が皆、同じ状況だという事を表している。
原因は、今では必需となっている『メール』である。
どうしてか、昨日の夕方からメールを拒否され、サクラへのメールは未送信ばかりだった。
同じクラスであるサスケとサイと、他校であるサソリとデイダラは直ぐにでも問い詰めたかったが、携帯と同じ様に、サクラの『拒絶』の言葉が恐いらしく、この昼食時間まで引っ張っていた。
「はぁ。サクラの態度は何時もと変わらないのに可笑しいですよね?」
「・・・もし、アドレスを変えたのが理由なら、普通、(俺に)教える筈なのにな・・・確かに可笑しい」
「クク・・・小娘の癖に、この俺に内緒で変えるとは生意気だ。しかも、俺にそれを教えないのも腹が煮えるほど可笑しい」
「いや、兄貴。それこそ可笑しいだろ?ショックで頭がパンクしたのか?うん」
「・・・・・」
『可笑しい』と同じ事を吐く四人を横目に、コンクリートが冷たいのに寝転がって今まで傍観していたシカマルは、自分の携帯電話をズボンポケットから取り出す。
慣れた手付きでパカッと携帯を開けば、メールが一件着ていたのに気づく。
眉を寄せてメンドクサイと思いつつもメールを開けば、一瞬でシカマルの頬は緩んだ。
メールの相手は、今此処で男達の話題の主となっている人物・・・春野サクラ。
用件は、『もう直ぐ屋上に着くから』という絵文字もない短文だが、そんな些細な情報でも送ってくれるサクラに愛おしさを感じるシカマル。
「仲良く喧嘩してるとこワリィけど、もう直ぐ此処に着くってよ・・・サクラ」
勝ち誇ったシカマルの言葉に、サスケ達はピタリと揉めるのを止めた。
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