頬を伝う流れ星



※学パロ





12月14日。

今日は知る人ぞ知る、双子座流星群の極大日である。


冬は夏に比べて、空気が澄んでいる分、星がよく見える。その分冷え込みも半端ないため、ルーシィとグレイはしっかり着込んでいる。


レジャーシートを敷いて、肩を並べるようにして座る。ルーシィはグレイからあたたかいココアを受け取ると、そのプルタブを開けながら口を開いた。





「…いいんですか、消灯時間過ぎに勝手に屋上に来て」

「何だよ、流星群見たいっつったのルーシィだろ?」

「あれは…軽い気持ちで…」

「気にすんなよ。オレを誰だと思ってんだ?ここの寮長様だぞ」

「……それも今年度いっぱいですけどね」





ココアを傍に置いて、レジャーシートの上に寝っ転がるルーシィ。そんな彼女を優しい目で見つめた後、グレイもその隣に寝転ぶ。

こんな風に軽口を叩き合えるのも、あと少しだと思うと、ルーシィは妙に胸がつかえた。


あたしはもしかして、グレイ先輩が離れていくのが…





「…オレがいなくなると、寂しいだろ?」

「べ、別に、そんなこと」

「オレは寂しい」

「っ、」





グレイの言葉に視界が一瞬グニャリと歪む。霞んだ視界の横に、一筋の光が見えた気がする。



反対側からスッと伸ばされたグレイの腕は、人差し指で空の星を繋ぎ始める。



オリオン座のベテルギウスに、子犬座のプロキオン、おおいぬ座のシリウス





「冬の大三角…」

「ああ、綺麗だよな。んでもって…」




グレイは指の軌道からベテルギウスを外して、新たな軌道を描き出す。


さっきまでと同じ、プロキオンとシリウス。そして、オリオン座のリゲルと双子座のカストル…いや、ポルックスかな。

あとはぎょしゃ座のカペラと牡牛座のアルデバラン…

六つの輝きから生まれたのは、空にしか存在しない、巨大なダイヤモンド。





「卒業して、あんなダイヤをお前に渡せるような大人になって帰ってくるな」





グレイの言葉に、今度こそ視界が波打つようにして見えなくなる。その瞬間にダイヤモンドを横切る光…





「っ、せ、んぱいのせいで、流れ星…見逃しちゃった、じゃ、ないです、っか!」

「悪ぃな。こっちは、随分と綺麗な流れ星を見つけたけどな」





スッと自分の上に影が出来たことに驚き固まったが、自分の頬に伝った涙をグレイによって舐めとられたことにより、思考すら止まった。

そんなルーシィにグレイはクツクツと笑いながら、その頭を撫でてから、腕の中に抱き込むと、再び空を見上げるのだった。



頬を伝う流れ星

(……っ、お、大人になる前に、こと座流星群を見に帰ってきて下さい)
((卒業した年の4月って…かなりスグだな))

End
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stskチックなノリです。
だって、ぬいぬいとグレイの中の人一緒だし!←
今日本当に極大日だし←
2014.12.14

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