プライドないの?
ゴトゴトと揺れていた列車は、ゆっくりと駅へと入り、停車した。
そのことにより、グレイは何とも言えないくらい表情を歪めた。そんなグレイに、向かいの座席に座るルーシィはハラハラする。
この駅の停車時間は五分も無いはずだが、グレイにはそれよりももっと長く感じていた。
今ここにいるのは、依頼をこなしに行くグレイとルーシィの二人のみ。つまり、ルーシィを守れるのは自分しかいない、守りきるのだとグレイは右に拳を作り決意を強固にする。
今回は思い人であるルーシィを誘っての行動だったというのに…とんだ邪魔が入ったものだ。ルーシィをつけ狙う輩は沢山いるだろう。基本的には、ルーシィが軽くあしらったり、オレが牽制しているため(軽く8割はこれが要因)に簡単に諦めるヤツが多い。だが、今回追ってきたアイツは…かなりしぶとい部類に入るだろう。それが、グレイの見解であった。
「見つけたぞ!!」
「ッチ…もう来やがったか…」
前方車両側の扉が開かれたと同時に、響く叫び声に眉間のシワがよる。グレイは咄嗟に立ち上がると、目の前のルーシィの手を取る。
「っあ、」
「…絶対離さねぇから」
そのまま勢いよく後ろの車両へと走り出す。
「待てコラァ!!」
後ろから踏み込むような足音が聞こえた瞬間…
ガタン!ゴトン!
その音に、グレイは口角を上げる。
「クッソ…待ちやが、ゥウッ!」
「あ、…」
「フッ、列車が走り出した今、お前の負け決定なんだよ…
ナツ」
じゃあな、とグレイは颯爽とルーシィの手を引き後方車両へと向かう。
「あ、やっと追い付いた…。オイラを置いてくなんてヒドいよー……ナツ、グレイとルーシィは?」
ナツの後ろからひょっこり現れたハッピー。ナツが力無く指差す方をみて、一言…
「…グレイ…
プライドないの?」
((二人っきりのはずが…))
((グレイめ…列車内を逃げるとか、ひきょ)…ゥウップ!)
((ナツが死にそう!助けたいけど、グレイの手が…!!))
End
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プライドはとうの昔に捨てた模様(笑)
2014.08.17
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