眠くなってきた




※学パロ







ここは、妖精学園生徒会室。
今日は生徒会ミーティング。今月中に一学期の決算報告書を提出しなければならないのだが、行事等々に追われ、今日まで引き延ばしてしまっていた。
しかし、文芸部のルーシィ以外の生徒会員は全員、インハイを控えた体育会系の部活に所属していた。

そんなルーシィ1人に報告書制作を任せっきりにするのは、いた仕方ないことであっても申し訳なく感じ、後ろ髪を引かれるように生徒会室をあとにしたグレイは、部活終了後、片付けもそこそこに、ルーシィのいる生徒会室へと全力ダッシュで向かった。


放課後の静かな廊下の先。


滅多に生徒が使わないこともあってか、いつも以上に閑散とした雰囲気の空間が広がっている。


まだ灯りが付いていることに、幾分かホッとして、グレイは生徒会室の扉を開ける。





「……大丈夫かルーシィ、ぐったりして」





目に飛び込んだのは、椅子の背もたれにダラっと力の抜けたルーシィが寄り掛かっている姿だった。





「報告書、終わった…」

「お疲れさん。マッサージでもしてやろーか?」





ルーシィが指差す先には、クリップでまとめれた書類の束。
彼女の顔からは、疲れが見て取れる。

スッとルーシィの後ろに回り込むと、その肩をゆったりと揉んだ。




「気持ちいい」

「だろ?……てか、結構こってるな。代謝悪いんじゃないのか?」





どこかほんのり赤くなっているルーシィの顔。そのせいで心臓が跳ねたことを気取られまいと、グレイは必死で平静を装う。

そんなグレイの気持ちなど、つゆ知らず。

ルーシィが時折、「っあ、」「んゃあ」などと甘い声を出すたびに、グレイが何かに耐えているような表情をしていた。





「代謝そこまで悪いとは思ってないんだけど…」

「少しは運動した方がいいんじゃねーの?」

「んー…」





大人しく肩を揉まれているルーシィに、グレイはニヤリと笑うと、その手をゆっくりと、下に伸ばした。





「……なんなら、このあと運動するか。……軽い運動、付き合うぜ?」





伸ばした手がリボンに触れる。
このまま後ろから抱きしめて、リボンをといて、首筋に噛み付いて…さながら吸血鬼のようだと思う。

インハイを前に、ルーシィと関わってる時間が極端に減っていた為か、自身の欲望が暴れそうなのを止めるのにやっとのグレイ。

欲望の熱は声にまで反映され、ルーシィの耳元で軽く耳たぶを含みながら囁いた。





「なあ、ルーシィ……ルーシィ?」





が、一向に返事はおろか、反応すらない。
いつもなら、顔を真っ赤にするというのに…

不思議に思い、ルーシィの顔を覗くと、グレイは言葉を失った。





「すぅ…すぅ…」




可愛い寝息を立てて夢の世界へと、ルーシィは旅立っていたのだ。

報告書制作に疲れたからなのか、グレイのマッサージのせいで眠くなってきたのか…





「………はぁ、しゃーねーな」





熱に浮かされたような溜息を吐くと、自分の着ていたブレザーをかける。





「おやすみ、姫さん」





頭を撫で、頬にキスを落とすと、グレイはいそいそと生徒会室を出た。

ああ、くそっ、お預けかよ…

という声が静かな廊下に響いたそうな。


End


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