アイス食べる?
※学パロ
放課後の屋上に、男女が二人。
黒髪の男子生徒も、白い長髪の女子生徒も、どちらも見目麗しい容姿をしていた。
見ようによっては、お似合いのカップルにも思えるだろう。
しかし…
「じゃあ、思い切ってどうぞ!」
「……」
そのような甘い空気など皆無に等しく、むしろ、男子生徒の方は恐怖しか感じていなかった。
…何故こうなった?
*******
「な、なあミラちゃん。本気で言ってんのか?」
「あらっ。グレイには、私が冗談を言うような人に見えたの?」
ウフフっと笑う彼女…ミラの背後に、魔人が見えたのはきっとグレイの気のせいではないだろう。
ことの発端は、今日の昼休みのこと。
近頃人気を博しているとウワサのバスケ漫画を、ミラが読んできたことにあった。
ミラが気に入ったところというのも、主人公らが入部する際に交わされた約束…もし目標達成がならなかったら、屋上から全裸で好きな子に告白するというものだった。
『ルーシィはどう?』
『ええ、あたしですか?』
どうも以前に放送されていた番組のコーナーと同じ、屋上から告白系がミラのツボを刺激するらしい。
屋上からの告白について、突然話を振られたルーシィは戸惑いつつも、自分の意見を述べた。
因みに、クラスの大半の男子生徒が耳を傾けていることを、ミラは分かった上で聞いている。
『嬉しい…と、思いますよ、多分。素直な気持ちをぶつけられる感じが。……でもちょっと…いや、かなり恥ずかしいですね、コレは』
特に全裸はちょっと…と渋るルーシィに、そうねーと軽く返すミラの瞳には、なにやら怪しげな光が灯っていたことを、誰一人として知らない。
そして、放課後。
グレイはミラに屋上に呼び出された。
「さぁ、思いっ切りルーシィに愛の告白をしてね!」
好きという言葉は許されない…
愛してるしか言ってはならないという舞台に。
「確かそのマンガじゃ、目標達成出来なかったらの話だって…」
「グレイだって、ルーシィに告白っていう目標達成出来てないから、丁度いいじゃない♪」
「いや、それにはタイミングってもんが…」
「ごめんなさい。何て言ってるか、全く聞こえないわ」
「……」
逃げ場は一切ないということに、グレイは、覚悟を決めるしかなかった。
「……ああ、くそっ!」
確かにいつまでもタイミングがどうなどと言っては、逃げてきたと思うと、いつ横から掻っ攫われるか分かったものではない。
頭をガシガシと掻き回すと、グレイは大きく息をついた。そして、ゆっくり吸い込み…
「ルーシィ!!」
「何?」
「アイ……って、は?」
先ほどまでいたハズの白い長髪は、金糸の長髪にかわっていた。
「ル、ルーシィ…?」
「だから何?」
「いや、何でここに…?」
「何でって…ミラさんが、グレイが屋上で呼んでるって…」
面と向かって告白するより、半ばヤケクソに叫んでしまった方が、いいかもしれない。そう思い至ったから、グレイは覚悟を決めたのだが、そんな生半可な覚悟は、ミラは良しとはしなかったらしい。
ご丁寧にご本人様登場という方法で。
「それで?アイ…何なの?」
「あ、いや、それは…」
「?」
怪訝に睨んでくるルーシィに、グレイはゴクッと生唾を飲み込むと、口を開いた。
アイス食べる?
言った瞬間、あたたかな笑顔になったルーシィの後ろ…屋上と校舎内に続く扉から、冷気が漂ってきた気がした。
End
ーーーーーーー
扉後ろにはもちろん……
愛スクリーム=愛を叫ぶ
元ネタは、『黒/バス』と『宮沢/賢治』かな(笑)
全然シーズンじゃない。てかここの所寒い…
2013.11.22
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