空腹の4時間目






変だ……







腹がすかねぇ……





*******




いつもなら3時間目頃から腹が減る。4時間目なんて、地獄でしかない。昼休みが待ち遠しくてしかたがない。
それがオレだ!って言ったらこの前マカオにどつかれた。ついでに今授業を請け負ってるワカバには怒鳴られた。

いつもなら、腹が減ったせいで唸りまくるオレ。ついでに腹の虫も鳴いて、合唱状態になっている。


そう、いつもなら……



「なんだ、ナツ。今日はやけに静かじゃねぇか」



ワカバがニヤニヤしながら言う。今日はあまりにも腹が空きすぎて、叫ぶ元気すらないと思ったからだ。



「……なんかさー、今全然腹空いてねぇんだよ」



……



………



…………



──ザワッ



長い間の後、水面の波紋が広がるかの如く、クラス中がざわめきたった。



「え、あのナツが…?」

「変なモンに当たったんじゃね?」

「いや、それでもあのナツだぞ…?」

「やっぱ、腹空き過ぎて感覚が…」

「けど……」

「なら……」

「ナツ大丈夫か?保健室行くか?」



あちこちから上がる疑問の声とかなり心配してくるワカバ。
この前は怒ってたじゃねぇか!どっちだよ!!
というより……



「お前ら、オレをなんだと思ってんだよ!」

「「「食い意地張った奴」」」



クラスの大半が声を揃えた。うわ、うぜー……間違っちゃいないだろーけど…
それなりのショックを受けていると、教室の隅の方の女子達から笑い声が聞こえた。何だよ…?



「ナツってさぁ、ルーシィちゃんのこと好きだよね〜」

「ナツ=ルーシィ一途!じゃない?」

「「「確かに〜♪」」」



……は?


いや、なんでルーシィ…?



「そういえば、ルーシィどこ行ったんだろ?」



2時間目からいないよね、という呟きにツキンと胸が鳴った。
……え、腹の虫じゃなくて?



「ルーシィが学校サボるなんて、久しぶりだよね〜」

「ああ、中学以来じゃね?」

「あの頃は結構サボってたよな〜」

「おい、お前達!ちゃんと授業聞けよ!」



ワカバの一声に談笑しつつも前を向くクラスメイトの中で、ナツは一瞬のフラッシュバック。



中学の頃。

気づいたら、ルーシィがいない時間が増えていた。

一時間だけいなかったり

午後の授業からいなかったり


一日中…いなかったり




ルーシィが朝からいない日は、テンションも上がんねーし、腹も空かないときもあった。オマケに、さっきみたいに『ツキン』として……


最近も『ツキン』ってやつが多い気がする。ルーシィがヤローと楽しそうに話してるのを見た時が一番『ツキン』として、腹も空いてこなかった。


この『ツキン』ってなんだよ……

これが何か分かったら、いつもみたく腹が減るのか?


なあ、ルーシィ……教えてくれよ



空腹の4時間目
ちっとも空腹じゃない。何故か胸がいっぱいで


End

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