長い長い3時間目





くるくるくるくると飽きることを知らないぐらいの勢いでシャーペンを回す。
最近は両手でも出来るようになった。ここまでくると、少しの感動を覚えた。



『それって、ロキ先輩の特技?』



好きでこんな特技を身につけたんじゃないんだけどなぁ……

ふと金糸の綺麗な髪の後輩に言われたことを思い出し、苦笑すると、先生に指摘されてしまった。










*******




前はペン回しなんて、全然できなかった。
出来るようになったのは、意外とつい最近だ。


授業が暇に感じて、ふと視線をまわした時たまたまクラスメイトがペン回しをしたのを見た。その時から、暇に感じる授業をペン回しの練習に当てた。

思いの外難しく、いつも暇で長く感じていた授業時間があっという間に過ぎ去る感覚がした。そこまで熱中していた自分に笑えてくる。


さて、問題なのは今。


特技の域に達してしまったペン回し。もう授業を練習に当てる必要もないし、むしろ、熱が冷めてしまった。
今日からまた暇で長い授業の毎日……



「ふぅ…」



CDから流れる無機質で淡々とした英語を聞きながら、小さく伸びをする。
一瞬、視界に金糸が飛び込んだ気がして、窓の外を凝視した。



「ルーシィ…?」



屋上……フェンスに寄り掛かる少女が一人。
風が彼女の髪で遊んでいるかのように靡いている。



「おいロキ!お前は何ニヤついている!」

「先生〜、ロキくんはいつもそんな感じじゃないですかぁ」




え、何それ?何のフォローにもなってないよ?納得顔をした先生に、こちらにウインクを飛ばしてくる女子クラスメイト。
とりあえず笑い返すと、すぐにまた窓を見る。

まだ寄り掛かっているルーシィに安心した。前にもルーシィを授業中に見かけたことがあった。
でも最近はめっきり無くなっていた。(ルーシィに授業サボって欲しい訳じゃないけども!)


確か、ペン回しを始めた頃……いや、違う。ルーシィを見かけ無くなった頃からペン回しを始めたんだ。


謎がひとつ解けた感覚に、また笑う。


退屈だった日々は、君のせいだったんだね……


愛おしい金糸を見つめながら、ペンを一回転させた。



長い長い3時間目
君を見付けた僕以外



End

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