憂鬱の1時間目
ルンルン気分で、数学の教科書を出す。
あらかじめラインを入れたルーズリーフと筆箱を横に置けば、完璧。
国語や外国語、歴史といった文系科目が得意なあたしの、今一番楽しみな授業がこの数学。確かに、文系科目に比べてそこまで得意じゃない。
でも……
好きな人が教えてくれるから好き
*******
ムッス〜〜〜……
机に肘をついて手の甲に頬を乗っけ、反対の手でくるくるとシャーペンを回しながら窓の外を眺めるルーシィ。
……否、睨みつけていた。
不機嫌度MAXのルーシィである。
「おい、ルーシィ!ボーッとすんなよ!」
「……してませんよ」
「じゃあ、問3は?」
「−5<a≦7」
「おし、正解」
流石ルーシィだな!とマカオ先生は笑って言った後、「少しはルーシィを見習え」とナツの頭を小突いた。どっと湧くクラス。
違う……
マカオ先生に褒められたいんじゃない。
はぁ…
グレイ先生に褒められれば、それだけでいいのに……
さっき答えた問題だって、ただグレイ先生に褒めてもらいたくて、前もって解いてきた。
『不純だな』
「……」
ふと、昔言われた言葉を思い出す。
そうだよ?あたしは今、不純な理由で学校に来ている。あなたがあたしの理由なんだから……
「…ちゃんと教えてよ」
ため息混じりに呟く。
今日は先生方による研究会(といっても色んな先生の集まり)があるらしく、それに出席しているとマカオ先生は言った。
それならそうと、前の授業のときにでも言って欲しかったが、本人はすっかり忘れていたらしい。
そんなだから今頃、逆ナンだとは気付かずに見ず知らずの女教師とおしゃべりしてるんじゃないかと思う。
「んだよ、オレは数学好きじゃねーんだよ!」
公式とか無理!と叫ぶナツに賛同するかのように、ちらほらと拍手が起こる。
ここでマカオ先生の怒号が教室中に響いたのは、言うまでもないだろう。
マカオ先生には悪いけど、ナツの言う通りだな……
そう思いながら、ルーシィは窓の外を眺めると、また一つため息をついた。
憂鬱の1時間目
キライになった教科を受けるのは
End
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