明日笑顔になるために




※学パロ




教室に二人しかいないため、普段より広く感じる。放課後の教室は、まるで切り取られたみたいに静かだった。






「ねえ、ロキはグレイと仲いいわよね…」

「まあ、それなりに…かな」

「じゃあ、どうしたらグレイはあたしに振り向いてくれると思う?」

「さすがに分からないよ」





好みは人それぞれだしね、と苦笑するロキに、ルーシィはそれもそうか、と肩を落とした。





「いっその事本人に聞いてみたら?好みのタイプ教えてって」

「もう!聞けないからロキに聞いてるんじゃない、意地悪!」

「……ゴメンね?ルーシィって、つい虐めたくなるタイプだし」

「何よそれ?好きな子ほど虐めたいとか、言わないでよ?」





呆れながらルーシィは言う。しかしロキは静かに俯くだけで…
不思議に思い、ロキの方を向く。





「……ロキ?」

「そうだよ」

「?何が?」

「ずっと前からルーシィが好きってことが」




まさかの告白に、今度はルーシィが硬直した。

そんなルーシィを現実に引き戻したのは、何かがぶつかったような音。

肩を震わせて振り返るとそこには…




「…っあーいや、その何だ。かくれんぼの鬼としてナツを探してただけで…邪魔したな」




ルーシィの思い人…グレイだった。

グレイはしどろもどろではあるものの一言残すと、ルーシィに弁解の余地を与えることもなく、さっさと教室から去ってしまった。


反射的に立ち上がったルーシィは、どうしようかと焦って振り返ると、そこには何時もののようにニコニコしたロキ。




「え、ロキ?」

「あそこは食い下がる所だよね、普通。あんなに吃っちゃって…」

「ん?…え?」

「早く追いかけた方がいいよ。あのままだと、誤解されたままだよ?」

「…ロキ、あんたまさか」

「ちょっと焚き付けようとしただけなんだけど…やり過ぎたかな?」





苦笑しつつ、ほらどうするの?というロキに唖然とするも、ルーシィは、バカ!とありがとうを残して行った。


その背を見届けると、ロキはため息を付いた。




「それで?ナツは盗み聞きかい?」

「いやいや、ちげーよ!」





教卓の下からニュッとナツが這い出てきた。




「さっきグレイが言ってたろ?かくれんぼしてるって!その、出るタイミング失っただけでだな…」

「でも、話は全部聞いてたんだろう?」

「ぅぐっ!」




ナツの様子に、クスリと笑うロキ。




「…まぁ、ついでに僕の独り言も聞いてよ…



本当に、本気で好きになって…僕にはこの子しかいないし、この子にも僕しかいないんじゃないかって思ってた。

よく一緒にいたし、相談だって、たわいない会話だって…何でも話せる仲。それが心地よくって、壊すとか壊れるとか考えたこともなかった。

…いや、考えたくなかっただけかな。

いつか彼女に好きな人が…僕よりも大切な存在が出来るなんて。しかもその相手も、どう見たって彼女が好きで…お互いに想いあってるって知ってて教えなかった…悪足掻きに必死で。


だから、本当に好きだって言葉も気持ちも伝えられなかった…ルーシィの笑顔を作れるのは、僕じゃないって気付いちゃったからね…」

「ロキ…お前、泣いて…」

「っ、あーあ、カッコわるいな、僕…」

「……別にカッコ悪くねーよ。そんだけ、あいつのこと想ってるってことだろ」





だから、今だけ…泣いたっていい。


明日笑顔になるために

(明日見せてくれるであろう、世界一可愛い君の笑顔を曇らせないために…)
(涙と一緒に、君への想いは流れてくれないみたいだけれど)
End
ーーーーーーー
前にグレイが追いかける話を書いたので、ルーシィに追ってもらいました。

そして、ロキゴメンよ…私が書くと不幸になりやすいな…お前のこと嫌いって訳じゃないんだ!

2014.10.01

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