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地下鉄入り口まで戻って来ると、見送った時よりもどこかボロボロになっているブリッツと、彼を説教しているらしいラリーを見つけた。

下に降りずに入り口にいるということは、ブリッツは戻って来て早々ラリーの説教を受けているということなのか。


何とも言えない状況をなまえが眺めていると、さすがにラリーが気付いたようだった。




「お帰り、なまえ!
ブリッツから話は聞いたよ。
大変だったよね。ありがとう」

『たいしたことはして無いよ』




…多分。とにかく出てきた色違いのモヒカンさんを倒していっただけだったし。

他に何かしただろうか、と考えてみても、特にこれといったことが思いつかない。

顎に手を当てて自身の行動を振り返るなまえに向けていた視線を、ラリーは凄い剣幕でブリッツに戻す。




「まったくブリッツは!
心配したんだよ!」

「あぁ。ごめんなラリー」

「もう危ない事はやめてね」

「…悪かったよ」




シュンとして謝罪するブリッツに、漸く納得したのか、ラリーは「ブリッツのケガの手当てをしよう」と、ブリッツの手を引っ張って地下鉄へと降りていった。

引き摺られていくブリッツに、つい乾いた笑みを浮かべながらも、遅れてそれに続く。


地下鉄へ行くと、ナーブとタカが走りよってきた。



「ブリッツ、見つかったか!?」



全力で詰め寄ってきたナーブに、思わず一歩後ずさったことは致し方無いだろう。

なまえはなんとか二人を宥(なだ)めると、事の顛末を説明した。



「そっか、ブリッツは無事だったのか、良かった。心配してたんだぜ。ところで、どうやって助け出したんだ?誰も居なかったわけじゃないだろ?」

『うん、まぁ…とりあえず、デュエルで勝って、道を譲ってもらったかな』

「……えっ!!お前、あのアウトロー一味をたった一人で倒して来たのか!?」

「マジかよ!そいつは驚いたなぁ。相手はあのアウトロー一味だろ!?」




タカに続きナーブが悲鳴混じりの声をあげる。

《あの》アウトロー一味と強調するぐらいだから、やはりここ近辺の者たちからは、実力者として知られていたのだろうか。

いくら緊急事態だったとはいえ、一人突撃したことは、それなりに危険な行為だったかもしれない。ラリーには『たいしたことはして無い』だなんて言ったけれど、これがラリーにバレたら、ブリッツ以上に怒られるのでは?


なまえが自身の行動を再び省みていると、不意に声がかかった。





「どうした、何かあったのか?」

『あ、遊星…』



彼らが遊星の姿を認識したのと同時に、先程なまえに詰め寄ったのと同じ位のスピードで二人は遊星に迫る。

その二人に全く動じた様子を見せ無いのは、仲間として過ごす時間が長いからか。

例え長い間共に過ごしたとしても、あの迫り方は慣れ無いだろう。ならば、流石遊星といったところか。




「実は…なまえのためにみんなで手分けして、D・ホイールを探してたんだ。そしたら、ブリッツがD・ホイールを安く譲りたいって奴を見つけて、早速、買い付けたんだけどさ…」

「よくよく調べてみたら、それがジャンクだったんだよ。エンジンなし、CPUなしの。で、とんだジャンクを売りつけたってブリッツがカンカンに怒って文句を言いに乗り込んだわけよ」

「だけど、相手が悪かった。売り手の奴は、あのアウトロー一味だったのさ。それで、逆にブリッツが捕まっちゃったんだ。でも、なまえが助けに行ってくれて、ブリッツも無事帰って来れたってわけ」



ラリーに負けず劣らずなマシンガントークを繰り出す二人に、なまえの空いた口が塞がらない。

身振り手振り付きでノンブレス。タカからナーブ、ナーブからタカへと引き継ぐ様の鮮やかなこと。一種の舞台のようだ。





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