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青いモヒカンさんを押しのけて、乱雑な室内を進む。

グルっと見渡してみるものの、汚れた壁と奥へ続いているであろう通路への入り口。


鉛筆で塗りつぶしたような真っ黒な入り口の先に、少しばかり足が竦む。


入り口とは反対側に置かれた机には、一台のパソコンがあった。しかしながら、壊れているようだ。



ここの地図情報とかは望めない、か…

効率悪いけど、兎に角奥に行くしかない。


次のブロックへ続くであろう通路へと脚を踏み入れると……




「さっきから騒がしいと思ったらお前の仕業か?」



青の次には、金色のモヒカンさんとエンカウントしてしまった。……モヒカンがチームシンボルだったり?…なんてアホな思考が一瞬脳裏を過ぎった。危ない危ない。



『私の仕業、といいますか…私はただ、仲間を探しています。何処にいるのか、ご存知ありませんか?』

「あぁん?仲間?……あぁ、奥の倉庫に居るぜ。っていっても通さねぇけどな!」




随分あっさり居場所を答えたのは、自分が強いと思う高慢さからか、それとも、目の前に現れたのが弱そうな女だからか。


そのどちらもだろう。




「通して欲しかったら俺に勝ってみろ、デュエルだぜぇ!」

『わかりました』

「そう簡単に勝てると思うなよ!」

「『デュエル』」

==亀野VSなまえ==


『先攻もらいます!私は、モンスターを一体セット、さらにカードを二枚セットして、ターンエンド』

「俺のターン、ドロー!…モンスターを一体伏せ、マジックカード《悪夢の鉄檻》発動!さらにカードを二枚伏せて、ターンエンドだ」

『(攻撃が出来ない今、戦力を整えないと…)《Xセイバー ガラハド》召喚。カードを一枚伏せてターンエンドです』


《X-セイバー- ガラハド》
[攻 1800 /守 800]


とても静かな動き出し…まるで、嵐の前の静けさのような…


「俺のターン…《ニードルワーム》を反転召喚。リバース効果発動!デッキの上からカードを5枚墓地へ捨ててもらおうか。」

『5枚…』

「ターンエンドだ」

《ニードルワーム》
[攻 750/守 600]

『私のターン、ドロー…私はターンを終了します』


現時点で出来ることは何もない。
この瞬間、周りを覆っていた鉄檻が崩れていく。



「俺のターン…モンスターを一体伏せ、永続魔法《平和の使者》発動!」

『(高火力での攻撃は厳しいかな…)』



《平和の使者》 はフィールド上に表側表示で存在する攻撃力1500以上のモンスターは攻撃宣言をする事ができなくなる永続魔法。

《悪夢の鉄檻》に続き、攻撃を制限するカード。

…相手の攻撃の手を止めつつ、デッキ破壊を狙っている?
嵐の前の静けさというよりも、じわじわと毒が身体を侵食してくるような恐ろしさと評した方が正しいだろうか。


「俺はこれでターンエンドだ」

『私のターン…《正統なる血統》発動!《チューン・ウォリアー》を特殊召喚します』


《ニードルワーム》により墓地に送られてしまっていた《チューン・ウォリアー》を引き上げる。

《チューン・ウォリアー》
[攻1600/守 200]

《平和の使者》の効果で攻撃は出来ないが、一種の牽制にはなるはず。《平和の使者》を破壊するカードは今、デッキの中で眠っている。


『《シールドクラッシュ》発動!裏守備モンスターを破壊!』

「それはどうかな!リバースカードオープン、《神の宣告》!」


亀野LP8000→4000

《神の宣告》 はLPを半分払って、魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。またはモンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する強力なカウンター罠。

LPを半分払ってまで破壊を防ぐモンスター…またデッキ破壊能力を持つリバースモンスターの可能性が高い。

だが、LPに大きな差がある今、攻め時と考えてもいいはず。


『《サイコ・コマンダー》を通常召喚、《メカウサー》を反転召喚』


《サイコ・コマンダー》
[攻1400/守 800]

《メカウサー》
[攻 800/守 100]

《メカウサー》リバース効果により、500ポイントダメージを与える。

亀野LP4000→3500



『バトル!《サイコ・コマンダー》で裏守備モンスターに攻撃!』


裏守備モンスターは…大きな一つ目をギョロリとさせた青いモンスター、《悪魔の偵察者》だった。


「破壊された《悪魔の偵察者》のリバース効果!相手はデッキからカードを3枚ドローする。この効果でドローしたカードをお互いに確認し、その中から魔法カードを全て墓地へ捨ててもらう。」


《ジュッテ・ナイト》《カウンター・カウンター》そして…

《ツイスター》。

《平和の使者》を破壊する手段として一番に浮かんだものが墓地に送られてしまった。


『《メカウサー》で《ニードルワーム》を破壊!カードを一枚伏せて、ターンエンド』


「《平和の使者》の維持コストとして、100ライフポイントを払う。カードを二枚伏せ、ターンエンドだ」


亀野LP3500→3400


『《ジュッテ・ナイト》を召喚』

《ジュッテ・ナイト》
[攻 700/守 900]


伏せカードが厄介だが、壁モンスターがいない今、少しずつライフを削っていくべきだろう。

『バトル!《ジュッテ・ナイト》でダイレクトアタック!』

「チッ」


亀野LP3400→2700

『《メカウサー》で攻撃!この瞬間、罠発動《鎖付きブーメラン》!』

「そうはいくか!《神の宣告》発動!」

『残念…』

「クククッ、そう簡単にはいかないさ」

『そうですね』


次の瞬間、《鎖付きブーメラン》を装備した《メカウサー》が亀野を攻撃していた。


「な、んだと?」

『このカードに見覚え、ありますよね?』


《神の宣告》にチェーンして発動していた、カウンター罠ーー《カウンター・カウンター》。


「《悪魔の偵察者》で手札に加えられていたカードか…!」


当然、《神の宣告》の発動条件であるライフコストは支払われる。

亀野LP2700→50


『《サイコ・コマンダー》で攻撃!』

「っさせねぇ!罠発動!《強制脱出装置》!」

『ターンエンドです…』


「俺のターン…《平和の使者》のコストを払わずにこのカードを破壊。永続魔法《つまずき》を発動し、ターンエンドだ」


《つまずき》は、召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したモンスターは守備表示になる。

またもや攻撃の手を阻むカードである。


『私のターン…このままバトルです!《メカウサー》!』

「っ、《強制脱出装置》で《メカウサー》を手札へ!」


だが、まだ攻撃出来るモンスターがいる。今まで《平和の使者》の効果により、動けずにいた…


『《チューン・ウォリアー》でダイレクトアタック!』


亀野LP50→0


「くっそ…簡単に負けちまったぜぇ…」


『では、約束通り、ここは通してもらいますね』


指し示された奥の倉庫へ繋がる通路を迷いなく踏み出した。




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