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[第六話*勘違いをしていました。]





ナーブとラリーとD・ホイールについて話して数日。


なまえはD・ホイールを探したり、サテライトの人達とデュエルをしたりという日々を送っていた。



今日も探すぞ!と意気込んで地上へと上がると、自分の名前を大声で呼ばれる。




「おーい、なまえ!」

『え、ブリッツ?』




息を切らせて手を振りながら走ってくるブリッツになまえは首を傾げる。




『どうしたの、そんなに慌てて…?』

「D・ホイールを売りたいって奴を見つけたんだ!」

『本当!?』

「あぁ!しかも、かなり安く譲ってくれそうなんだよ。な、いい話だろ?」




なまえは嬉しく思う反面、申し訳なく感じ、眉根が下がる。


せめてD・ホイールは自身の力で見つけ出そうと考えていたからだ。





「とにかく、こっち来いよ!急げ!!」

『あ、待ってよ!』




駆け出すブリッツを追うなまえは、どこか複雑な面持ち。

そんな彼女に気付いたブリッツは、振り向き笑顔になる。




「売り気でいるうちに早いとこ買っちまおうぜ。なまえ!」




優しい雰囲気に包まれて、なまえは笑顔を取り戻す。




***




『ここ…』



ブリッツによってたどり着いたのは、前に一度、忠告を受けたあの広場だった。

確か、アウトロー一味とかいう人達の溜まり場、だったかな…危ない人達らしい、くらいにしかわからない。




「D・ホイールが欲しいって奴を連れてきた」




ブリッツの後ろから顔を出すと、モヒカン頭の男ーー黒江がいた。

少々コワモテで、厳つい感じだ…とつい固くなるなまえだったが、意を決しブリッツの後ろから出る。

緊張ぎみななまえを、黒江は気にした風もなく上から下まで見る。




「ふーん、お前か?
D・ホイールが欲しいっていうのは」

『は、はい!』

「さすがにタダじゃねえけど、1000DPでならいいぜ。どうする?」



黒江の持ち掛けになまえは自分のデュエルディスクを確認する。

デュエルを重ねる度に、加算されるDP。カードショップでカードを購入したり、デュエル関連のものであれば、貨幣として扱われる代物だ。

手持ちは3500DPほど……よし。




『はい、お願いします』

「オーケー、交渉成立だ」




重々しい雰囲気が一転、黒江は二カッと笑った。




「良い買い物をしたな!よしっ、今日は気分が良いから特別サービスだ」

『サービス?』

「お前らのねぐらは地下鉄だったよな?D・ホイールは届けてやるから、楽しみに待ってな」

『ありがとうございます!』

「な!良い話だっただろ?これでD・ホイールが手に入るぜ!」

『うん、ありがとう、ブリッツ!』

「!」




フワッと微笑むなまえについ見惚れたブリッツだったが、ハッと我に返ると、頬を掻きながら視線をそらす。





「よ、よしっ、俺が責任を持って、ソッコーで届けさせるからな。お前は先に地下鉄に帰ってろよ。後から俺も行くからさ」

『わかった。じゃあ、後でね!』

「おう!」




来た時同様走って地下鉄へ向かう。

体力は減っているはずなのに、気持ちが高揚しているせいか、その足取りはとても軽い。


早くラリー達に報告しよっと!


一分でも一秒でも早く、となまえは足を進めた。





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