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[第四話*地下鉄での決闘です。]
ラリーに続いて地下鉄へ入るなまえ。
当然ながら電気など通っておらず、薄暗い階段を慎重に降りて行く。
勿論慣れているラリーはサクサクと進むのだが。
階段を降り切ったところに、光が煌々と差している。そこに立つ二人の男。
がたいの良い男が、ラリーとなまえの存在に気付く。
「よう、ラリー!…ん?誰だ、こいつ?」
「タカ!ブリッツも!ちょうど良かった!」
ラリーはなまえを手招きしながら、がたいの良い男…タカと、メガネが印象的な男…ブリッツの元へと行く。
「この人、なまえっていうんだ。さっき知り合ったばっかだけどみんなに紹介したくて連れて来たんだ」
「ここに入るってことは、ナーブも認めたんだな?」
「もちろん!」
タカの問いかけに、ラリーは笑顔で答える。
その答に、少し警戒気味だった二人の緊張感は、一気に解ける。
「それなら安心だ。俺はブリッツ、よろしくな」
「俺はタカだ」
『なまえです。よろしくお願いします』
「なまえはデュエリストなんだ!」
「おっ、デュエリストか!よし、じゃあ俺とデュエルしようぜ」
「あっ!俺も今、挑戦しようと思ったのに!」
タカにブリッツがくってかかろうとする勢いに、なまえはタジタジになる。
…どれだけデュエルがしたいんだ。
そう思うものの、なまえ自身、デュエルという言葉に反応しているのだが。
『あの、順番にお相手させて下さい』
「…じゃあ、俺とはタカの後にな、絶対だぜ!」
「順番も決まったみたいだし、俺、見守ってるからさ。なまえ頑張ってね!」
ラリーからの声援に、なまえは笑顔を向ける。
今は純粋に、デュエルがしたい。
『それでは、お手柔らかに、お願いしますね?』
「そうこないとな!やろうぜ!」
二人は距離を取ってデュエルディスクを構える。
ラリーとブリッツが見守る中、デュエルが始まった。
『私の先攻です!《クレボンス》召喚。カードを一枚セットして、ターンエンドです』
《クレボンス》
[攻1200/守 400]
「俺のターンだな!《デス・メテオ》発動!」
その効果により、なまえは1000ものダメージを受ける。
『っ!』
「まだまだ行くぜ。《ムカムカ》を召喚して攻撃だ!」
《ムカムカ》
[攻 600/守 300]
「(《クレボンス》の効果で攻撃を止めるのかな…)」
なまえと一度デュエルをしたラリーは、そう予想する。
しかし、実際になまえのとった行動は違うもので。
『この瞬間、罠カード《オーバースペック》発動』
「なっ!?」
《ムカムカ》は撃破される。
元々の攻撃力よりも高いモンスターを破壊する罠…手札の枚数によりその力を上げる《ムカムカ》を狙い撃ちしたのだ。
「ターンエンドだ」
『《ツインバレル・ドラゴン》召喚…バトルです!』
《ツインバレル・ドラゴン》
[攻1700/守 200]
《クレボンス》と《ツインバレル・ドラゴン》により、2900ものダメージを与えるなまえ。
「うっ…俺のターン、
ドロー!《レッド・ガジェット》を召喚、効果発動!デッキから《イエロー・ガジェット》を手札に加える」
《レッド・ガジェット》
[攻1300/守1500]
今度は自分が仕掛ける番だと、攻撃をするものの、《クレボンス》の効果により、バトルは終了する。
5100対6200。
未だなまえに、モンスターによる戦闘ダメージを与えられていないことに少し焦るタカ。
「カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
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