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「!?ちょっと待った!お前、それデュエルディスクだろ?」
『え、あ、はい』
「ちょうど退屈してたところなんだ。俺とデュエルしようぜ!」
『え、デュエルですか?』
デュエルの申し込みに戸惑うなまえ。
だが、その戸惑いも直ぐに消え去った。
「もし、お前が勝ったら、さっきの話を信じてやっても良いぜ」
信じる…
その言葉は、なまえの胸を熱くさせた。
過去の記憶が一切ない自分。
空っぽの自分。
自分のアイデンティティも示せず、ただ一人のなまえという人間。
なまえという自分の名前だけが、自分のことを信じることの出来る唯一の材料だった。
『はい、よろしくお願いします!』
「…やる気じゃねぇか。いくぞ!」
ただなまえという人間を知ってもらいたい。
男にとっての暇つぶしは、なまえの信じて欲しいという欲求とともに始まった。
「『デュエル!!』」
「先攻はお前からでいいぜ?」
『じゃあ、お言葉に甘えて…私は《カップ・オブ・エース》を発動します!』
先ほどラリーとのデュエルで、活躍したカードだ。
今回もそれを狙ったのだが…
『っう、裏向き…』
「てことは、俺が二枚ドローだな」
まさかの不発に終わった。
「そんな出だしで大丈夫か?」
『っ!私は、《クレボンス》を召喚して、カードを二枚伏せます。ターンエンドです』
《クレボンス》
[攻1200/守 400]
「俺のターン、ドロー!俺は《ミノタウルス》召喚!更に《与奪の首飾り》を装備し、バトルだ!」
《ミノタウルス》
[攻1700/守1000]
《ミノタウルス》の眼光が《クレボンス》を捉える。しかし、効果により800のライフをコストに、撃破は免れた。
「モンスター効果か…俺は一枚セットして、ターン終了だ」
『私のターン、ドロー。罠カード《サンダー・ブレイク》を発動します!手札一枚をコストに、《ミノタウルス》撃破!』
「ちっ」
『バトルです!《クレボンス》でダイレクトアタック!』
「この瞬間、罠カード《正統なる血統》を発動!《ミノタウルス》が墓地から復活!」
『そんな…!』
やっと与えられると思ったダメージをうまくかわされ、なまえは泣く泣くターンを終了せざる終えなかった。
「《アームズ・ホール》を発動。
デッキトップを墓地に送り、装備魔法《メテオ・ストライク》を手札に加える。バトル!」
なまえは再び《クレボンス》の効果で、《ミノタウルス》の攻撃をいなした。
「(デカいダメージを与えるには、あのモンスターを何とかしねぇと)ターン終了だ」
現在、ライフは8000対6400と、なまえの不利にあるが、全て効果により自ら削ったものだけ。
実質、お互いにダメージを与えることが出来ていないのだ。
『私のターン、ドロー。《Xセイバー アナペレラ》を召喚。
更に、《進化する人類》を《クレボンス》に装備します。バトル!』
《Xセイバー アナペレラ》
[攻1800/守1100]
《アナペレラ》の斬撃が《ミノタウルス》を撃破する。ダメージは100。
加えて、《クレボンス》によるダイレクトアタックにより2400もの大ダメージを与える。
「くっ!」
『《クレボンス》の装備カード《進化する人類》は自分のライフが相手より低い場合、モンスターの攻撃力を2400にします。ですが…』
5500対6400となまえのライフが優位に立つ。
しかし、《進化する人類》の効果により《クレボンス》の攻撃力は1000となった。
『…ターンを終了します』
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