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ため息をこぼしたエレンに、首を傾げるなまえ。
何か不満なことがあったのだろうか。それとも、心配事?エレンが気にかけることと言えば…
『ミカサの事が心配?』
「はぁ?何でいきなりミカサの事が出てくるんだよ?」
『だって、ため息してたし…心配なのかなって』
「むしろ、ミカサと兵長の間に入るグランとか、ミカサと兵長にボコられる生徒の方が心配だ」
『確かに…』
そもそも、ここマナリア魔法学院に訪れた理由は、不良生徒間の喧嘩の沈静化だ。あまり手を出すことはないが、行き過ぎる場合は止めざるを得ない。
その役をグランは、喧嘩慣れしている(らしい)リヴァイとミカサ、あと数名の団員に任せた。
その間、本来リヴァイの役目…エレンの監視をなまえが行うことに。理由はただひとつ、立体機動装置を使えるから。
騎空艇グランサイファーが謎に包まれた島…暗黒大陸に不時着した際、初めて見た巨人という存在。団員達がどう戦おうとも、巨人が倒れる事はなく、時間も体力も浪費する差中に助けに入った兵士達が使っていた武器…ブレードと立体機動装置。
それらに興味を示したのは、団長であるグランとなまえだった。
不時着したグランサイファーを修理し脱出するまでの間、二人はブレードと立体機動装置の扱いをエレン達から教えてもらい、訓練を受けていた。
グランサイファーの修繕が一通り終わる頃には、まるで自分の背中に翼が生え、鳥と同じようにーー自身の手足と同じレベルで扱うにまで達していた。
騎空士として鍛えられてきたことに加えて、騎空艇で飛ぶこととも、走艇で滑走することとも違う浮遊感の楽しさに取り憑かれたことが、短期間で技術を習得させたと言っても過言ではないだろう。
だからこそ、“いざ”という時にはエレンの項を削げる者として、リヴァイの代役としての許可がリヴァイから出されたのだ。
その理由をわかってはいるものの、やはり二人きりという現状に、エレンは《監視》と書いて《デート》と読むことにしたのだった。
「いいだろ《デート》で…いいよな《デート》で…学校見学だけど…いや、別に場所なんて……大事なのは二人きりっていう事実で…」
『?』
一人悶々と考え込むエレンに、やはり首を傾げるだけのなまえであった。
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