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旅の始まりは蒼から(2/2)
「しかたないんじゃないか?今までと一変して、晴れて“自由の身”になったんだからな。
混乱状態になるのも、無理ないだろう」
そんな彼女の波は、海原の旅人達の手によって、動きをなくした。
「よくあんな奴らのために泣けるな、お前。一応、殺したりしてねぇぞ?」
「まぁ、殺す価値もなかったってだけの話しだけどな。あんなのでも、“人”であることに違いはねぇし、船長のポリシーだし」
ずっと座り込んでいたルーシィだったが、ゆっくりとその場から立ち上がる。
それに倣うかのように、船長も腰を上げた。
目の前の船長を見据えたルーシィは、息を整えた。
「あたしの質問に答えて。あんた達は何者?あたしの服と鍵はどこ?ギルドを襲った理由は?あたしをどうして船に乗せたの?」
「ほんとに何なんだよ、お前っ!訳分かんねぇことは言うし、船長にそんな口のききかたして、自分の立場ってもんをわかってんのか?」
船長とルーシィの間に割って入る青年二人。
「じゃあ教えて。“あたしの立場”って何?“自由の身”ってどういうこと?」
「そのまんまの意味だろうがっ!あんな継母と、姉貴らにずっとこき使われてたかったのかよ!?」
「……はい……?」
そこでピタリとルーシィの動きが止まる。
継母とは…新しい母親?
姉貴ら…いや、姉という存在は一人もいませんが?
「…んな格好で床に放置されてて…『私たちの命の変わりに、この灰被りを持っていって』なんてタダ同然で渡されて…」
「ちょっと待ちなさいよ!確かに、あたしには今、母親はいないし父親もある意味いないも同然だけど…何か勘違いして、」
「何だよ、一人ぼっちで寂しくて、助けを求めてたんだろ?」
「一人は寂しい…けど、それでギルド襲撃?あたしのためだっていうの?そんなの嬉しくないわよ!!」
「っ!?お前だって一人だったんだろ?なのに何でっ!」
息巻くグレイに似た青年は舌打ちをすると、くるりと背を向け、船室へと入っていった。
「あ、おい、ブレイブ!」
「よせ」
「っ、でも!」
「少しそっとしておこう。後で様子を見て来てくれないか?」
「…わかった」
彼の背を目で追うことしか出来なかったルーシィの前に、船長が立つ。
「少し落ち着いて話をしようか…
灰被り…いや、シンデレラ…といったか」
その名前に、目を見開くルーシィ。
ここは一体、何処だというの…?
[第二章へ続く]
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2014.09.05修正
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