![](//img.mobilerz.net/sozai/154_w.gif)
![](//img.mobilerz.net/sozai/159_w.gif)
3
「で、でも、泡になるだなんて、そんなこと…」
「……ルーシィ」
「っ!」
あるわけない…という言葉は、ぐっと近づいた距離に驚き、飲み込むしかなかった。
グレイはルーシィの両手を握ると、熱い視線を向ける。
今までに見たことのないようなグレイの扇情的な表情に、顔に熱が集中しはじめるが…
「今すぐ、オレと結婚してくれ」
「な、え、ふぇっ!?!?」
その熱は一気に爆発した。
徐々に近づくグレイにただあたふたすることしか出来ず…
「っ、バカ!!」
「ぅお!?」
…ということもなく、力の限りで押した。
グレイは現在人間の足ではなく、魚のそれであったために踏ん張りがきかず、海へドッポーン!とうしろから倒れる。
その反動か、水飛沫がルーシィへとかかる。
「変なこと言ってないで、早く行って!」
「何怒ってんだよ、ルーシィ…」
「怒ってないから、早く行く!!」
グレイはしぶしぶではあったが、今の魚のままでは行動が制限されることは目に見えているため、人間の足を手に入れるべく、海へと潜った。
その後ろ姿を見つめながら、ルーシィは顔にかかった水を拭う。
「……しょっぱい」
『結婚してくれ』
そう言われて、かなりドキッとした。
でもそれって、用は“フリ”ってことでしょ?
泡にならない方法は、人魚姫と王子様が結ばれること…でもそれって、
「気持ちがない結婚なんて…あんまり、よ…」
ただボンヤリと海をみつめて放ったルーシィのつぶやきは、波の音に呑まれてはいかない。
「なら僕と、深く愛しあって結婚しないかい?」
「…ぇ」
まさかの返答に驚きいたためか、それともその声に聞き覚えがあったからか。暫し固まるルーシィだったが、ゆっくり振り返る。
「泣かないで…可愛い顔が台無しだよ」
頬に伸びた手が目の下を這う。
柔和に微笑む彼…ロキにつられ、ルーシィは笑った。
[第五章へ続く]
ーーーーーーー
2014.09.13
[*prev] [next#]
[ mokuji]
[しおりを挟む]
![](//img.mobilerz.net/sozai/159_w.gif)