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「で、でも、泡になるだなんて、そんなこと…」

「……ルーシィ」

「っ!」





あるわけない…という言葉は、ぐっと近づいた距離に驚き、飲み込むしかなかった。

グレイはルーシィの両手を握ると、熱い視線を向ける。

今までに見たことのないようなグレイの扇情的な表情に、顔に熱が集中しはじめるが…





「今すぐ、オレと結婚してくれ」

「な、え、ふぇっ!?!?」





その熱は一気に爆発した。

徐々に近づくグレイにただあたふたすることしか出来ず…





「っ、バカ!!」

「ぅお!?」





…ということもなく、力の限りで押した。

グレイは現在人間の足ではなく、魚のそれであったために踏ん張りがきかず、海へドッポーン!とうしろから倒れる。

その反動か、水飛沫がルーシィへとかかる。





「変なこと言ってないで、早く行って!」

「何怒ってんだよ、ルーシィ…」

「怒ってないから、早く行く!!」





グレイはしぶしぶではあったが、今の魚のままでは行動が制限されることは目に見えているため、人間の足を手に入れるべく、海へと潜った。


その後ろ姿を見つめながら、ルーシィは顔にかかった水を拭う。





「……しょっぱい」





『結婚してくれ』


そう言われて、かなりドキッとした。

でもそれって、用は“フリ”ってことでしょ?
泡にならない方法は、人魚姫と王子様が結ばれること…でもそれって、





「気持ちがない結婚なんて…あんまり、よ…」





ただボンヤリと海をみつめて放ったルーシィのつぶやきは、波の音に呑まれてはいかない。





「なら僕と、深く愛しあって結婚しないかい?」

「…ぇ」





まさかの返答に驚きいたためか、それともその声に聞き覚えがあったからか。暫し固まるルーシィだったが、ゆっくり振り返る。





「泣かないで…可愛い顔が台無しだよ」





頬に伸びた手が目の下を這う。
柔和に微笑む彼…ロキにつられ、ルーシィは笑った。



[第五章へ続く]
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2014.09.13

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